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2001/01/07 (Sun) 3話『禁呪実践』

クロン「それと考えてほしいことは、後進の育成だ。」

これはクロン自身が考えていたことだ。
竜がやってきた以上、禁呪も何もあったものではない。
禁呪は危険な魔法であるがゆえに、人間側が精霊に申請して禁止されている魔法である。
そのため、原理を辿れば禁呪は誰にでも使える魔法なのである。

この情勢を鑑みても、シェクスピアやクロン以外に禁呪を使用できるものがいるに越したことがない。
それに数がいれば、その分だけこちらに有利に働く。
前々から後継者育成として、頭の中には考えてあったことである。










シェクスピア「ん?ひょっとして、禁呪魔法部隊を作るの?」

シェクスピアのこの話には驚く。
自分が禁呪を覚えることについては自己責任だから、どちらでもいい。
しかし、それを他人に教えるということになると流石のシェクスピアのためらう。
禁呪は自分から学ぶものであって、他人から教わるものではない―――というのはシェクスピアの故郷の不文律であった。







クロン「そのとおりだ。」

シェクスピア「………ふむ。」


シェクスピアは無下に「そうね」ということを言わなかった。
禁呪がなぜ禁呪と呼ばれているか……それを重々に承知していたからである。
過去の人間がその魔法はあまりにも危険すぎるからと思い、精霊と契約をしてその魔法を禁止したのである。
そのような魔法を使用する人間を増やすというのはあまりにも常識からかけ離れている。







クロンらしくもない……。
そうシェクスピアは頭の中で思った。
少なくとも博愛主義者の魔王の考え方ではない。
いくら竜がタイムスリップをしてやってきて、それが人間を食らったからといって過敏になる過ぎていると思った。






クロン「心配するなシェクスピア。禁呪が禁呪でなくなる日もそう遠くない。」

そんなシェクスピアの心中を察したようにクロンは言った。
はっきりといった。
かなり確信に満ちた表情にシェクスピアはそれだけで納得しかけた。



シェクスピア「どういう意味。」

クロン「それだけ最近の戦闘レベルが上がってきている。昔であればその圧倒的な魔法は畏怖する対象であったが……今ではそうでもない。」

シェクスピア「禁呪クラスの魔法がどんどん開発されているってことね。」

クロン「そういうことだ。」







確かに最近の魔法開発と武装開発は異常なまでにランクが上がっている。
昔ではDランクCランクの武器が当たり前だったが、現在ではほぼAランクが当たり前になってきている。
あまつには伝説の武器とまで称されるEXランクの武装まで作られている。
そのような中で禁呪の危険性を説くのはいかにもナンセンスだ。
昔の戦争と違う……それはシェクスピアも感じていた。
時代がすすむにつれて武器や魔法の威力が上がっていく……それはどこの星でも同じことである。

ならば、時代に合わせて戦う必要がある。
禁呪が当たり前のように行使できる時代は……必ずやってくる。
そう遠くない時代に。






クロンがいいたいことをシェクスピアは納得した。
それが戦乱を生むことは承知であるが……それはシェクスピアよりクロンの方が理解している。









シェクスピア「わかった。ならば、後輩の育成はやりましょう。……私のツテでいくつか禁呪に堕ちている奴を連れてこようか?」

シェクスピアは禁呪の知識が欲しい人物をいくつか知っている。
性格的に問題があったり、出世に無頓着の人物もいる。彼らを誘えばいくらかは来るだろう……と思った。
もっとも、任意であり強制をするつもりはない。

禁呪はいつまでたっても禁呪でなければならない……という固定観念がシェクスピアの中にはあった。






クロン「出来れば頼む。」

シェクスピア「わかった。集めておく。……そっちでも集めておいて。」

クロン「分かっている。」

これから禁呪使いの人間が増える時代がやってくるのか……。
そう思った瞬間、シェクスピアは哀愁と希望が同時にやってきた心境になった。
哀愁とは禁呪が当たり前のように行使される危険に時代に突入してきたこと。
希望は禁呪が繁栄すること。

シェクスピアは時代が変わってきていることを肌身で感じていた。







シェクスピア「ああ、クロン。」

クロン「なんだ?」


振り返ったクロンは威圧感があった。
シェクスピアは委縮しかけそうになって、笑顔で対応した。
やはりクロンらしくない……そう考えさせる表情をクロンはしていた。





シェクスピア「もし……人間側が攻め込んできたら……本気で戦争する?」

クロン「そのための準備だ。……我々は果てるわけにはいかない。この世界を……人間だけの世界にしないために。」


今度こそ―――――シェクスピアは震えた。
そのクロンの決意に。
魔王と呼ばれたその男の表情と立ちふるまいに。
シェクスピアは戦慄を覚えた。


シェクスピア「そう。」

シェクスピアはかろうじて笑顔で納得した。
ミルフィールには絶対に見えない戦慄の魔王がそこにいた。





クロン「ならば、禁呪の残りの作成に移ろう。」

シェクスピア「了解。」

これはクロンは本気だな……。
シェクスピアは心の中で独り言を発した。

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