2001・03
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2001/03/28 (Wed) 2話『クラッシュ ソード』

サハク「やっぱり、遠距離からの砲撃じゃあ、あの結界は貫通できないな。」

無敵艦隊クラッシュ ソードに乗り込む国家元首サハク・シュラインはぼやいた。
それは笑っているようにも見えたし、苦笑いをしているようにも思えた。

世界に多く結界装置はあるが、クラッシュ ソードの砲撃を防ぎきる結界となると、それこそレベルが高い結界となる。
グッゲンハイム大陸を支配するデュミナス帝国やフェルト国家の結界レベルにまで達している。
魔王の張る結界は凄いという噂は確かにサハクは聞いていた。
しかし、ここまでレベルということになると、かなりのものである。
加えて、複数で張るはず結界を個人で構築しているというのは尋常ではない。








部下「やはりアイアトーネ市の部隊が結界を解除してくれないことには攻め込むことは無理ですね。」

サハク「無理でも何でもやってもらわなければ困る。この船では、あの結界を破ることはできない。力押しであの結界は破れないからな。アイアトーネ市の防衛部隊は捨石になってでも、結界を解除してもらう。そして、我がクラッシュ ソードが魔王を潰す。そういう手筈だったはずだろう。」


アイアトーネ市との手筈。
それはアイアトーネ市の防衛兵が結界を解除して、クラッシュ ソードが主となって魔王と戦う。
作戦自体は単純なものだった。

否。
戦略は単純で良い。
要は成功すれば、単調な作戦で良いのだとサハクは言ったのである。


クラッシュ ソードの船では結界解除のような細かい作業はできない。
それこそ、結界は人が結界の前に乗りこんで、詠唱を唱えないと解除できない仕組みなっている。
船の上や力押しで結界解除ができては、結界とは呼ばない。
精霊を媒介にしなければ、結界は解除できない。










部下「シミレーションでは1時間で解除できると息巻いていたんですけどね。実戦となると、兵隊が邪魔したり、ハプニングが起こったりするから、そのとおりにはいかない。1時間が2時間となり4時間となります。多少の誤差は仕方ないでしょう。」


サハク「大変なのはこっちだって同じだ。西の古狸を焼き殺して、休まずこっちに来ているんだ。」


サハクの言うとおり、クラッシュ ソードはつい5時間ほど前まで、フェルト国家と戦っていた。
兵の補充と人員整理、兵器の拡充を行って、すぐさまクロノス自治区に移動しているのである。
連戦に次ぐ連戦を行い、兵士にかなりの労苦を与えているのは間違いない。

事情が苦しいのはクロノス自治区だけではない。
シュライン国家とて、優秀な人員を回すのは容易ではないのである。








サハク「まあ、それでも結界解除はアイアトーネ市にやってもらう。何が何でもやってもらう。そうしなければ、すべての作戦を立て直さないといけない。……まあ、いい。アイアトーネ市の兵士たちにねぎらいの言葉をかけるか。兵士を奮い立たせるは国王の務めだ。おい。魔力コンディショナーをクロノス自治区ホルンの森に合わせろ。魔王と戦っている勇猛な兵士たちに言葉を送る。」


部下「了解。周波数をホルンの森に合わせます。」


サハクは立ち上がり、マイクを持った。
ホルンの森に周波数を合わせれば、自然にアイアトーネ市にる兵士たちの言葉が届く。
それは同時にホルンの森に生きるもの全てに届くので、隠密命令はできないのだが。
だが、サハクのように鼓舞するのであれば、全く問題ない。




サハク・シュラインは怒号のように大きな声で言った。
シュライン国王としての威厳を胸に。




サハク「我が栄光あるシュライン国家アイアトーネの兵士たちよ!!
    僕は鯨の少年王のサハク・シュラインだ!!
    そうだ!!
    君らのシュライン国王だ!!
    アイアトーネの兵士諸君に聞きたいことがある。
    君らが魔王と戦う理由は何だ!!??
    それは君らの家族が竜に食われたからではなかったのか!!
    魔王とその眷属である龍に家族を蹂躙されたからではなかったのか!!??
    その恐怖に打ち勝つために、我らは魔王に戦争を仕掛けたのだろう!!
    我らシュライン国家が元々奴隷民族であったことは周知の事実だ。
    龍族の奴隷となって1500年!!
    グッゲンハイムを支配するデュミナス帝国の属国となって300年!!
    キミらはこれ以上の屈辱と苦難を味わいたいか!!??
    奴隷となって生きていきたいか!!??
    答えは否だ!!
    我らは人間だ!!!
    生きている人間なんだ!!
    自由もあり、矜持もあり、
    心があり、血が通った人間なんだよ!!!!
    だから、恐怖に打ち勝てと言っている!!
    魔王と戦う勇気を持てと言っている!!
    龍に怯えず戦えと言っている!!!
    死ぬ気になって、鬼を殺せと言っている!!
    我らが本気になって戦って、家族を守れと言っている!!!
    シュラインの平和と安全を担っているのは我らだと知れ!!
    矜持を持て!!
    そのプライドを胸に、
    魔王の結界を解除してみせろって言っているんだよ!!!
    さすれば、シュラインが誇る無敵艦隊クラッシュ ソードが
    魔王を地獄の業火で焼き払ってやると言っているんだ!!!
    死ぬ気で戦えっていっているんだよおおお!!!!」




    

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