リリナが死ぬ直前、カレンとリリナはずっと話をしていた。
これからリーダーとしての生き方。
そして、昔話。
第2次魔王侵攻、第3次魔王侵攻。
この二つを支えてくれたのは間違いなくリリナだった。
それを感謝もしている。
そして、今度は自分がその立場になるのだ。
結局、3日3晩話しは続いた後、リリナはあの世へと旅立った。
グッゲンハイム1914年のことだった。
カレン「………。」
アイ「あ……あの。新任のアイ・ファルケンボークです。
よろしくお願いします。
リリナ司令官程ではありませんが、勇者様のサポートができるように頑張ります。」
リリナの死に立ち会ったその日。
イシュタル部隊のほとんどがカレンの前にいた。
これからのリーダはカレンが引き受ける。
そのため、挨拶と言ったところであった。
これからは私が演説をするのか……。
昔からやんちゃはやっていた。
その私が今では演説出来るほど偉くなったのか。
カレンは感じていた。
歳をくった。
それにつれて、周りの期待も大きくなっていることを。
それに応えなければいけないことを。
カレン「…私はみんなに戦いを強制する気はない。
私は私なりに戦いというものを知っている。
どれだけ残虐なものか。
どれだけ凄惨なものか。
どれだけ理不尽なものか。
私は最前線で戦いっている私は理解している。
戦いなんてやるもんじゃない。
戦うかどうかは本人の意思だ。
それが一番だ。
デュミナスの帝国支配が絶対的に正しいとは思わない。
世界を救い、世界の秩序を守ってきた。
それは事実だ。
誰かが世界のトップに立って、世界をリードしていかないといけない。
それをデュミナスが担っているだけだ。
間違っていること、ゆがんでいることは・・・確かにたくさんあると思う。
だが、どうんな高潔な理由にしても、自ら戦争を起こす魔王は私の中で絶対悪だ。
1次はともかく。
第2次、第3次魔王侵攻は魔王クロンが自ら戦争を起こした。
そして、多くの人が死んだ。
デュミナスが倒れれば、間違いなく世界は混乱する。
世界をリードし続けている国家なのだから。
倒れたとき、一番苦しむのは誰か?
私ら軍人でもなければ、政府高官でもない。
弱者である国民だ。
世界が混乱して一番苦しむのは市民である、力のない者だ。
・・・それは絶対に避けなければならない。
どんなに傷ついても、屍を重ねようとも、
弱者が苦しむのは避けなければならない。
だから、私は剣を捨てない。
その屍を超える。
超えて、聖剣グラストも持って。
今ある安寧ある生活を守るために。
散った者たちと共に。
弱者の生活の安寧を誓って魔王と戦い続ける。」
それが勇者と魔法使いの誓いであった。
前任リリナ・ベーラス、新任のアイ・ファルケンボーク。
そして、カレン・エスタークとの。
世代が変わっても、誓いは変わらない。
人が変わっても、誓いは変わらない。
勇者と魔法使いの誓いは不変のものだった。
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