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2010/11/24 (Wed) 3話

クランシュトカ800600_convert_20101124151413

サツキ「ふう。」
それほど重い桶ではないが、サツキにとっては重いらしい。
バランスが悪いらしくよたよたと危なっかしい歩き方である。






サツキ「うんちいいいいいい。」
サツキは気合を入れる。

井戸から水を組み上げるべく
滑車に付いた備え付けの桶のロープを勢いよく引っ張るためだ。







コン。
勢い余って振り回された桶に頭をぶつけた。



サツキ「あ痛ぁ!!!」
頭をさすりながらなんとなく視線を感じる。




村人「じーーーー。」
周囲に目を向けると遠巻きに村人が、割とじっと見ていた。






このサツキ・クリスト、
家族や村人からは『災厄の娘』と呼ばれている。

以前は都会に家族とともに住んでいたが
度重なる不幸を恐れた両親によりこの辺境の村へ隔離されて今は一人暮らし。
村人もサツキが不幸を呼ぶ少女であることを知り恐れている。








サツキ「よいしょ、よいしょ。」


ザパー。
引き上げた水桶から持ってきた桶に移し変える。





サツキ「やりました。今日はちゃんと溢さないで入れられました!」
サツキは両手をバンザイと挙げて全身で喜びを表現した。
普通の人にとっては普通のことでも、不幸の多いサツキにとっては些細な「普通」こそが最大の喜び。



そんな明るく、不幸な目にあってもめげないポジティブな姿は可愛らしく好感が持てる。

家族との縁が遠くても、
どんなに不幸でも頑張っている少女を村人は、
自分たちがあまり巻き込まれない程度に距離を置いて温かく見守っていた。






サツキ「わーい!」
ゲシッ
ポテッ

サラサラ。





嬉しさのあまり跳ね回っていたサツキが足元に置いてあった桶をゲシッと蹴飛ばした。


そして、重たいはずの桶はまるで自分から倒れたようにポテッと転がり、
中に入っていた水はサラサラと地面に吸い込まれていった。







サツキ「…………………。」
村人「………………。」
微妙な沈黙が村に降りる。


サツキ「…………………。」
村人「………………。」

サツキ「…………………。」
村人「………………。」

サツキ「…………………。」
村人「………………。」

サツキ「…………………。」
村人「………………。」







サツキ「ムキーーーーーーーー!!!!!!!」

サツキ・クリストはこのように小さな災害を被る不幸村娘であった。
少なくとも、今日この時までは。



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