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2012/12/22 (Sat) 9話

living_夜


シオン
「だったら、犯人が捕まえられないじゃない。
 大丈夫なのかしら・・・・?怖いわね。さっき付けられていたし・・・・。」

アンリ
「シオンは今日一日何をやっていたんだい?}

シオン
「今日?今日はパン屋に行って……人だかりが出来ているからそっちに行って。
 キリクに放火の話を聞いて……それからはアンリが知っている通りよ。」


確信が持てた。
これ以上シオンに何か聞いても無駄だろう。
いや、無駄というのは。
シオンが犯人であろうとなかろうと、これ以上進展する情報はないだろう。
・・・・・。
・・・・・・ということである。
パン屋。
ひとだかり。
キリクと会話。
迷子。
全て確実に証言がある。
パン屋でパンを買っているのは聞いた。
人だかりはともかく。
キリクとの会話も裏を取っている。
迷子・・・はアンリが知っている通りである。
何かそれ以外で特別なことはやっていない。
・・・・ということになる。
シオンに何か聞いたからといって……おそらく進展は無いだろう。
どちらの可能性を考慮に入れても。





シオン
「私……ここにいていいの?疑われている?
 この部屋・街に留まっていた方がいいのかしら?」

アンリ
「追いかけてきた奴に気づかれていたら元も子もない。昼は町中にいた方が安全だろう。
 人が多い場所なら手を出せないだろうし。何かあったら、私がすぐに駆けつける。」

シオン
「……たとえ疑われているのが人間でも?心配するの?」



アンリ
「当たり前だ。少しは化け物を信じてみろ。」

シオン
「自分のことをそういう風に言わないで。ごめんなさい・・・・。
 最初に言ったのは私よね…手を差し伸べてくれたとき。ごめん。
 あのときどうかしていた。怖かったのかもしれない。
 だから化け物なんていったのかも。本当にごめんなさい・・・・・。」


瞳に涙を浮かべてそう言うシオン。
そして、腕を伸ばし、シオンの頭を優しくなでた。
そういえば。
初めて会ったとき。
手を差し伸べたとき。
彼女は言った。
離して。化け物・・・・と。
そう言ったのは忘れていた。
いや、言われていたのは覚えているが。
そんなことを気にすることは無い。
そういう誹謗中傷はすぐに忘れるようにアンリはしているからかもしれない。




アンリ
「大丈夫さ。言われるまで忘れていた。この職業だ。悪いことは忘れる。
 シオンは気にしなくていいさ。あの時は本当に不安だったんだろう。」

シオン
「ありがとう……そういわれると救われるわ。
 もう寝るわね……。疲れちゃった………。」

アンリ
「ああ、おやすみ。」

シオン
「おやすみなさい……」



彼女はそう言って、隣室に消えていった。
しばらくして、鍵をかける音がして、アンリはふぅ、とため息をつく。
眼鏡の奥で、濃紺の瞳が少し疲れたように陰っている。





・・・・・。


・・・・・・・。


・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・。




さて。
ここで冷静に考える必要性がある。アンリはそう考えていた。
さっきの会話。
普通から考えれば、彼女がかわいそうだろう。
記憶喪失。
そして不安。
本当であれば癒してあげる必要がある。
それぐらいだ。
本当に不安なんだろう。
明日から優しく接する必要がある。
そう確信して、同情・優しさ。
それらがアンリの心を占める。
そういうやり取りである。
実際にアンリはそう思っている。





・・・・・。


・・・・・・・。


・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・。




それとは別に。
アンリの秘書としての機能が働く。
彼女のさっきのが芝居だったら?
アンリの信頼を勝ち得るための。
今までキリクが。
獣人のタカ派が犯人かもしれない。
そう考えていた。
・・・・・・・・・が。
それとは別に彼女がスパイだったら。
最後のやり取り。
あれは完璧である。
自然な会話。
自然な流れ。
そこからさりげなくアンリに信頼を勝ち得るセリフを出している。
完璧なタイミングである。
まるであのセリフを言うのを待っていたかのように。
完璧すぎるからこそ疑ってしまっている。
もし彼女がスパイだったら。
絶対に証拠は出ない。
それが確信できるようなやり取りだ。





犯人はどっちだ?シオンか?キリクか?
・・・・・・・・・・・どちらにしても。
アンリの心を痛めるのは間違いない。
分からない。
本当に分からなかった・・・・・・・。

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