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2013/04/02 (Tue) 5話

ホルン森800夜


シオン
「・・・・ふう。」


頭痛が治まった。
なんとか立ち上がれそうだ。


それにしてもシオンはさっき気配を感じていた。
だが、それらしき気配は感じない。


追ってではなかったとシオンは判断する。
それにしても、厄介の症状であるには違いない。
しょっちゅう頭痛が起こって歩けなくなっていたらそれこそ逃げるのに支障が出てくる。



シオン
「だいぶ感情のコントロールができてきた。
 記憶が戻ってきているからかしら・・・・?」



頭痛と記憶のフラッシュバックが同時にやってくるのがパターンであった。
そのため、感情の抑制が極度に難しくなり精神的に不安定になる。


特にシオンの場合、強烈に記憶に残っているのが祖母が死んだ時の記憶である。
その記憶がフラッシュバックした瞬間。



エルフと獣人に対して痛烈なまでに憎悪をさらけ出す。
そして、衝動的に放火をしてしまう・・・という結果に陥っていた。
手段は放火に限られるわけではないのだが。
シオンの場合は全てを消し去りたいという願望から放火という手段を取っているのである。




シオン
「・・・・・・正直あまり覚えてないのだけどね。」





シオンの立場からすればほとんど覚えていない。
記憶のフラッシュバックの後に衝動的に犯行をしてしまう。



そのため、自分の記憶なのか自分が本当にやっていることなのか。
その判別がつかない精神状態のままで犯行を行っている。


覚えていない・・・という表現よりも夢を見ているような感覚が正しい。
自分がやっていることなのに、自分がやっていないような感覚に陥るのである。




それでも罪であるには変わりない。
確かにかなり情状酌量の余地はある。
間違いなく心神耗弱の状態であり、責任能力を問えるかどうかすら疑問がある。



心神耗弱は、精神の障害等の事由により。
事の是非善悪を弁識する能力又はそれに従って行動する能力が著しく減退している状態である。
今回のシオンの場合であれば、記憶喪失である。



それに付随して記憶がフラッシュバックする。
衝動的に犯行に及ぶため。
著しく善悪の認識する能力が減退しているのは間違いない。
心神耗弱状態においては、刑法上の責任が軽減される。
そのため裁判で心神耗弱が認定されると刑が減軽されることになる。





だが、それは普通であればの話である。
シオンの場合は特殊な事情がある。
クロノス自治区では明らかに外国人であり、ましては人間である。
加えて、シュライン国家のスパイでもあった。
大半がエルフと獣人であるクロノス自治区で平等な判決が出るかどうかはかなり怪しい。
むしろ、なし崩し的に他の犯罪まで擦り付けられそうな印象すら受ける。
そのためにシオンは逃げたのである。
しかるべき罪は受ける。
だが、それは平等な立場であれば。
そのためにも一旦シュライン国家に逃げる必要がある。
ホルンの森を突き抜けて。





シオン
「ばっちゃは憎悪をひたすら押し殺して私の面倒をずっとみていた。
 ばっちゃはどういう気持ちで私の面倒を見ていたのかしら?」




再び、シオンは祖母への思いを馳せる。
そして、ホルンの森の奥深くを歩き始める。

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