21話 「待ってくれていた。私の想い人。」
「ごめんなさい!!!」
10分ほど待ったら、
駆け足でかなり焦った表情で来た。
俺の顔を見ると、少し安心した表情も見せていた。
俺が先に帰っているかもしれないと思ったのかもしれない。
まあ、確かに何かと理由につけて帰る可能性がある。
・・・ということは、ひょっとしたら、柚子から言われていたのかもしれない。
柚子は俺の性格を把握しているし、
俺は柚子の性格を把握している。
多分この状況だと、諸事情を柚子に任せて。
もとい、柚子が引き受けて、
無理矢理下駄箱に向かわせたと考えるのがベターである。
「大丈夫だよ。
別に先に帰ったりしない。」
少し笑顔で答えた。
「あ・・・・・。」
七井さんは顔を下に向けた。
そして、顔が真っ赤にさせている。
蒸気している身体。
照れているからなのか、走ってきたからか。
どちらともなのか。
少しその姿に魅せられる。
この人は本当に正直な人なんだと思った。
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