カレン「さてと……この状況じゃ魔王と会うとかそういう次元の話ではないな。」
カレンは深い森を駆けていた。
魔王と会う……あるいは魔王を殺すためにやってきたのだが予想外の展開になっている。
魔王率いる自治区とシュライン国家がカレンの襲来をきっかけに発生するとは思ってもみなかったのである。
カレン「こうなると……勿論、デュミナスの属国であるシュラインに味方をするのが筋なのだが……。」
シュラインという国家は世界を支配するデュミナス帝国の属国である。
シュラインが軍事侵略を受けた場合、支援する権利がデュミナス帝国にはあった。
そのため、カレンがシュラインに加勢しても何ら問題はなく、むしろシュラインにとっては協力は願ってもないことである。
かなり予想外の展開ではあるが、それはそれで面白い。
そうカレンは思い、アイアトーネ市の陣へと赴こうとしていた。
カレン「……しかし、アイアトーネ市の戦力で勝てるのか……?」
カレンは不思議に思った。
確かにアイアトーネ市の防衛隊が弱いわけではない。
一国であり、それなりの軍事力を有している。
通常であれば、自治区程度であれば簡単に潰せるのだが……。
この自治区は普通と違う。
さっき会った竜王マユルがそうである。
あのような強い者がいて竜もそろえている自治区と渡り合うのは並大抵の戦力ではない。
……それを考えると、アイアトーネ市はかなり不利だ。
カレンが加勢して勝てるとかそういう次元ではなくなってくる。
それこそシュライン本国の増援がない限りは勝ち目はない。
それはおそらく分かっているはず。
カレン「だったら、本国からの増援が来るのも時間の問題か。それまでの時間稼ぎは必要だな。」
カレンは苦笑いをして呟いた。
どんな苦境でも弱者を守るために戦うが勇者である。
本国が来れば、流石に勇者も個人の力ではどうとでもなるわけでない。
それまではアイアトーネ市に加勢をすればいい。
そう思った。
カレン「どのみち、早くシュラインの陣へ……ん?」
早く戻る必要がある。
戦略的にも戦力的にもカレンがアイアトーネ市にいた方がいい。
そう思った矢先――――――――――――――――――――――――――――――ソレはいた。
カレン「………は?」
それは鬼だった。
2足歩行の生命体であることは間違いないが、人間ではない。
人間に似ているが、明らかに人間と違って屈強な体つきをしていた。
何よりも特徴的なのは………頭に角があることだった。
竜の次は鬼か。
カレンは武者震いがした。
勇者としてこれだけ明確な敵がいまだかつていただろうか。
化け物退治は誰もが讃える専売特許の仕事だ。
レイビア「下朗が私の寵愛する鬼に勝てると思うな。」
幼い……そして冷たい声が聞こえた。
それは鬼のすぐ隣にいた。
水色のストレートの髪が特徴的な少女であった。
少女は和服を着ており、漆黒の色彩であった。
幼い少女……と呼ぶにはあまりにも無理があった。
見た目は少女であるには変わりないが、その雰囲気は明らかに人間ではない。
魔界かそれに類する使者としか思えない異質の雰囲気があった。
そして、鬼が隣にいても何ら不思議がない……そんな少女がいた。
そして、誰かに似ている。
カレンは直感的に思った。
さっき会った……誰だ………誰だ………?
カレン「ああ……。」
カレンは察知した。
この少女は―――――――――――――――――――――――――――さっきくびり殺した魔女の後胤だ。
レイビア・フェルト。
シェクスピアの子どもであり、一歳のころに神隠しにあった娘であった。
神隠しにあったシェクスピアの後胤がグッゲンハイムの大地に降り立ったのである。
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comment
れ、レイビア!
アズクウェイドも帰ってきたと思ったら・・!
お、鬼!??神隠しにあって一体レイビアはなにがあったんですか。゚(゚ノД`lll゚)゚!?
続き、また読みに来ますね
Re: タイトルなし
れもん様へ
レイビアは鬼たちと生活をしていたので、鬼を召喚できるようになりました~というほのぼの展開……というわけではないですね。鬼を扱う和風少女になって帰ってきました。。
いつもご愛読ありがとうございます。
2010/04/27 22:33 | LandM [ 編集 ]
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