レイビア「……誰?」
レイビアは満月の空を見上げながら呟いた。
レイビアには気配を感じた。
いや正確には誰かが通信魔法を通じてレイビアに接触しようとしている。
それが分かった。
クロン「クロン・ウェスターノ。こっちの世界の魔王とでも言ってくれればいい。」
不躾な男だ。
レイビアはそう思った。
対面ではなく通信で挨拶をしてくる奴はあまり印象はよろしくない。
それとも、そんなことをやっている状況でもないか。
レイビアはふとそんなことを考えていた。
レイビア「ああ……。私はレイビア・フェルト。」
クロン「フェルト?」
レイビア「……ん?」
フェルトが苗字ということは、西の雄『西の管理者フェルト』と呼ばれる大国フェルトの王族……ということになる。
だが、目の前にいる少女はそんな雰囲気を感じさせない少女だった。
どちらかというと魔界からやってきた少女だと理解するのが適切だった。
そして紛うことなき、レイビアは魔界からやってきた少女だ。
全てが繋がった。
レイビア・フェルトはシェクスピアの娘だ。
シェクスピアの本名はアルファンガード・フェルト。
フェルト国王の娘である。
多少ではあるが、シェクスピアの面影がある。
レイビア・フェルトは魔界との親和性があまりに高く魔界へと神隠しに遭遇した。
そして、魔界の娘として育てられた。
シェクスピアはそれを探すためにクロンの所へと転がり込んだ。
そして、執拗に禁呪に対する研究をしていた……ということになる。
彼女が禁呪にそこまで執着していたのは娘を探すためか。
そう思うと、シェクスピアが不憫に思った。
死んでからレイビアが帰ってくると言うのも何ともタイミングが悪い。
それとも、レイビアは母親が死んだと分かったから、この大地へ舞い降りたのか。
どのみち、シェクスピアは娘と会えないまま死んだのには間違いない。
クロン「なぜ、魔界の少女がこちらの大地へ?」
レイビア「それはアズクウェイドに言って。彼が無理やり連れてきたのだから。『母親が死んだからとりあえず来い』って言ったのだから。」
クロン「さっきの勇者がキミの母親アルファンガートを殺した。」
レイビア「…………。」
クロンは少し賭けてみた。
母の仇ということでレイビアの助力は得られるかもしれない。
逆に『そんなの関係ない』と突っ張られると魔界にすぐに帰ってしまうだろう。
このあたりは、母娘の状態がどうなっているのかクロンはわからない為、賭けに出るしかなかった。
色々状況を聞きだして、レイビアを説得する時間も労力もなかった。
だったら、早く見切りを付けたほうがいい。
敵か味方か。
どちらでもないのであれば、早めに撤退してほしかったのである。
レイビア「………ふうん。」
長い間があった。
クロンとっては、と言うことであるが。
実際にすると一分も経過していない。
シュウウウウウウウウウウウウウウウウ。
再び、巨大な体躯の鬼が現れた。
どういう経緯で召還しているのかは不明だが、彼女は容易に鬼を召還することが可能であるのは分かった。
レイビア「贄(にえ)が必要だ。私の母の墓標を彩るには。」
クロン「だったら、協力してくれるのか。」
レイビア「貸しにしておくぞ。魔王。」
クロン「分かった。」
味方か敵か。
かなりきわどいカードではあるが、それでも強力なカードを手に入れたことには間違いない。
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