シェクスピア「どうする?」
クロン「サタンというクラスは滅多にでるクラスではない。私が長を務めている限り出来得る限り他の種族を集めることに尽力した方がいいのは確かだ。」
シェクスピア「ごもっとも。」
自分の固有クラス『サタン』。
言語化すれば魔王。
人間以外の種族を強烈に引き付けるまさに異端者クラス。
このクラスがあるからこそ、人間以外の種族は私に従うのである。
地道に何のクラスのない者がやって成功するものではない。
……ならば、クロンは自分がやらなければ……と思うのだ。
クロン「近く会議でも開くか……。」
シェクスピア「それもいいんじゃないかしら。」
クロン「そういってくれると助かる。」
シェクスピア「そうはいっても、近くシュライン国家から税金を納めるのが必要になるけど。」
クロン「そうだったな。それが終わった後になるな。」
クロンたちの自治区は隣国であるシュライン国家に税を納めている。
こちらは自治区で、シュラインは国家。
集団の規模があまりにも違いすぎる。
そのため、彼らは税を納めることによって安全を買っているのである。
シェクスピア「高くなっているわね。」
クロン「税金か?」
その収める税金が高くなっている。
シュラインは弱みに付け込んで、税を釣り上げているのは人間で他人であるシェクスピアにも分かるほどだった。
実際、これ以上税が高くなるのなら戦いをしなければならないのでは……という意識がクロノス自治区でも高まっていた。
しかし、そうなって戦いきれなくなるのを知っているクロンは住民を抑えている最中であった。
シェクスピア「当たり前じゃない。」
クロン「怒っているのか?」
シェクスピア「まあね。私たちのこと舐め始めているんじゃないかしら?」
クロン「人口がそんなに多くない。それも仕方ないだろう。」
シェクスピア「それもそうだけどね。けど……禁呪が張れる自治区なんだからもっと出張っていいと思うけどな。」
クロン「あまり出張っていると叩かれる。ここは低い姿勢で臨んだ方がいい。」
シェクスピア「確かにね……けど、あまり低過ぎてもダメだと思う。」
クロン「考慮はする。」
シェクスピアはあまりシュライン国家のことをよく思っていない。
故郷のフェルト国家がシュライン国家を嫌っているというのを風聞で聞いたことはある。
その関係はあるんだろうか。
事実としては、フェルト国家とシュライン国家が友好的な条約を結んでいない。
それに加えて、クロノス自治区のことをシェクスピアが思ってくれているのを感じた。
シェクスピア「明後日だったかしら?来るの?」
クロン「予定ではな。」
シェクスピア「今回は前回と同じか……。」
クロン「あちらだって馬鹿ではない。そこまで吊り上げは要求しないと思う。」
それでも無茶な要求はしてこない。
反乱を起こされては厄介というのがシュラインにもあったのだろう。
シェクスピア「禁呪の存在と貴方の存在があるからね。」
クロン「そのとおりだ。」
シェクスピア「うかつに手を出すと……火傷する。」
クロン「そのための準備は今までやってきたつもりだ。」
シェクスピア「正直、私の魔法結界だけでは国防にも問題があるからね。」
クロン「そのとおりだ。」
シェクスピア「軍事兵器もそれなりに揃えたし、モンスターの調教と装備もと整えたからね。」
クロン「食糧も問題ない。、となりのアイアトーネ市を落とすだけの戦力もある。」
シェクスピア「頼もしいことで。」
戦力的には問題はない。
……だからこそ、精霊の啓司が気になる。
こちらが滅びる要素は……正直言えば薄い。
クロンはそう考えている。
確かにシュライン国家がクロノス自治区を根絶やしにするために全てを費やすというのなら話は別だ。
……しかし、シェクスピアの故郷であるフェルト国家がいる以上、こちらに戦力を裂くのは得策ではない。
それぐらいはシュライン国家だって承知している。
クロン「だがさっきの啓司を踏まえればしばらくは低姿勢でいるのが望ましい。」
シェクスピア「そうね。……まずは、できるだけ色々な種族を集めましょう。その方がいいわ。」
クロン「手はあるか?」
シェクスピア「私が国に戻れば。」
クロン「…………。」
このとき、クロンは何とも言えない表情をした。
それはシェクスピアが祖国に残している子どものことが気がかりなのか、それともクロンのために動く愛情によってのか……それが判断できなかったからである。
シェクスピア「変な顔をしないで。大丈夫よ。」
クロン「だったらいいが………。」
シェクスピア「そろそろ戻った方が良くなくて?」
クロン「そうだな。」
シェクスピア「またね。」
クロン「ああ。」
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comment
お邪魔します。
おぉぉっ!!
クロンさんとシェクスピアさんのやりとりを見ていると凄く大人な感じがムンムンしてとてもドキドキしました。
お互いの利益の為に口付けを交わして…そこには愛は無くて凄く切ないですねぇ…。切ないはずなのにドロドロって雰囲気がないのがまたイイです。
また遊びに来ますね♪
2010/02/22 17:53 | Night Baroness [ 編集 ]
Night Baroness様へ
みんながみんなスルーしているところをコメントしてくださってありがとうございます。
……どうして、意外にシェクスピア×クロンは取り上げないのか……と思ったりするのですが、どうなんですかね。
まあ、主人公は不倫しちゃあいけない生き物なのは宿命なんでしょうね。
……私はそう思ってないですけど。
確かにドロドロしていないのが、いいかもしれないですね。
クロンとミルフィールはいろいろあったので、そんじょそこらで崩れるような関係ではないですからね。
またお時間がありましたら、寄ってくださいませ。
2010/02/22 19:06 | LandM [ 編集 ]
もしかしたら気のせいなのかもしれないのですが
トップから第七話を押すとこの第八話に飛びました。
気のせいなのかもしれないのですが・・・。
もう一回確認してきます。
八話に飛びました。
これは蓮兄さんのマジックなのでしょうか。
わざとですよね。
きっと。
クロンさん結構戦力を持っているんですね。
市を一つ落とすなんてかなりすごいじゃないですか。
大体50万人ぐらいと考えていいのでしょうか?
そして相互リンクなんていかがでしょうか?
このタイミングで言うのもどうかと思うのですが・・・。
嫌でしたらお断りいただいてOkです。
ねみ 様へ
それを言うなら7話を押したら8話に飛びますよ。
実は隠し通路があって、そこを押していただくと禁断の・・・・なんてことはないので大丈夫です。
単なるミスです。話自体は繋がっているのでご安心を。
この辺は修正しているとややこしいので、そのまんまにしております。
・・・あの男の力はそんなもんじゃないですけどね。
色々な意味で全部嘘っぱちですから。
リンクは大丈夫ですよ。
こちらもいつお願いしようかちょっと困っておりましたので。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
2011/07/25 05:22 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]
クロンが唯一信頼する人がアルンなんだろうな。
二人の間の空気感がよく出ているよね。
微妙な空気。
愛情とも取れるし、同士とも取れるし、一つの師弟の形かもしれない。
なんかいい。
2011/11/05 14:47 | ぴゆう [ 編集 ]
ぴゆう様へ
この二人はけっこう面白いですからね。
経歴を重ねている二人・・・という設定ですね。
考えてみると、初っ端からコレを出すと訳が分からないぐらい設定のオンパレードですけどね。
2011/11/06 20:51 | LandM [ 編集 ]
サタンと言う名前はあんまりいい名前ではないですね。
よくサタンと言うのは色んな作品で出てきますね。そしてサタンと言うのはあんまり読者にいい印象を与える名前でもないですよね。
でも「ドラゴンボール」のサタンはいいキャラクターでしたね。
まあ何処にでも税の問題ってありますね。人間の欲深さと言うものですね。この事で人間以外にも不満は出てるようですね。
2016/03/06 12:26 | 想馬涼生 [ 編集 ]
想馬涼生様へ
直訳すると魔王ですからね。
・・・ん?魔王にならないか?
まあ、ともかく。訳すると魔王になるのでそこではあまり意味はないですね。
魔法の王様と言う意味での魔王なので。
そういえば、このころは政治的な色合いも強く出してましたね。
・・・というか、そういう作品もまた書きたいですね。
昔を読んで学ぶところも沢山ありますね。
毎度、ファンタジーのコメントありがとうございます~~。
2016/03/06 13:56 | LandM [ 編集 ]
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