カレン「さてと……再び前線に戻るか。」
そう呟いたものの、なかなかカレンは足が進まなかった。
別に恐怖で足がすくんだわけでもなければ、怪我をしたわけでもない。
ただ違和感がある。
やろうと思えば、アイアトーネ市破壊することはたやすい。
勿論、その後ということを考えれば、破壊することはあまり生産性はない。
……が、それにしても、行動が大人しすぎる。
結界を守る方に重点を置きすぎている。
竜部隊を展開させれば、守りと攻撃を両立させることは可能なはずだ。
国境付近でも激闘は繰り広げられているが、わざわざ正面きって戦う理由はどこにもない。
グウン―――――――――――――――――――――――。
その瞬間、大気自体が震える。
そして、アイアトーネ市本庁の上空に魔方陣が展開される。
あの魔方陣の形にカレンは見覚えがあった。
隕石魔法の魔方陣と酷似している。
カレン「……なるほど。そういうことか。」
カレンは合点がいった。
国境付近で正面対決を行って、アイアトーネ市の兵士の数を少なくする。
そして、その間に本庁を隕石攻撃をする。
その衝撃の大きさを元手に、アイアトーネ市を降伏をさせる。
作戦としては悪くない。
思い通りに行くかどうかは問題があるが。
カレン「……しかし……これだけ大きな魔法を展開していながら、どこから魔法を唱えれているのか分からないのか?」
大掛かりな魔法を唱えているのは確かだ。
だが、以前と違って巧妙に魔法を使用している。
魔力波動がたどれない。
いや、もとい、どこから魔力粒子が流れないように細工をしてある。
今度は魔王が直接魔法を唱えているのか。
それとも、代理がいるのか。
……考えるのも愚かだ。
細工を取り除くだけの魔法技術はカレンにはない。
魔力は高くても、カレンは魔術師ではない。
よって、今の時点で詠唱を止めることは不可能だ。
カレン「ならば、以前のように叩ききってやる。」
ならば、以前のように隕石を直接受けて止めればいい。
その方がよりカレンらしいし、単純である。
威力がどんなに大きくても、聖剣グラストを持ってすればとめれないことはない。
それぐらいの圧倒的な火力をこの剣は備えている。
このランクの攻撃となると、もはやアイアトーネ市がどんなに力を尽くしてもとめることが出来ない。
クラッシュ ソードが火力最大攻撃をして止められるかどうかは神頼み……という領域だ。
ならば、この隕石魔法を止めることが出来るのはカレンだけだ。
カレン「…………。」
そこまで考えて違和感を覚える。
魔王が私の存在を知らないわけがない。
もちろん、カレンは魔王のことをまったく知らないが、魔王は私のことを知っているだろう。
どこで何をしているかぐらいは。
それを止めるための手立ても考えるはずだ。
それは魔王でなくても考える。
そして、それを止めるだけの人材となると……それは限られる。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!
その瞬間、轟音が聞こえた。
そして、2頭の竜が落ちてきた。
どちらも何か槍のようなものに貫かれたような致命傷を負っている。
……間違いなく死んでいる。
確証は持てないが、先刻カレンの威圧によって逃亡を図った竜と見て間違いなさそうである。
カレンは後を見た。
カレン「よう。……どうしてもやるのか?」
マユル「今更命乞いかい?」
カレン「まさか。」
月夜に輝く空に、飛来する竜。そして、それに跨る少年がいた。
少年には不釣り合いの大きさの槍が鮮血に染まっていた。
槍から龍の血が滴り落ちていた。
何人よりも残忍な笑みを浮かべていた。
その姿は紛うことなき―――――――――竜王の姿であった。
将来の竜王マユル・パーチェノーク。
彼がやってきたのである。
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comment
盛り上がるなあ!
カレンさんもマユルくんも、どっちもカッコいい。(アズクウェイドさんも)
どんな戦いになるのか、ハラハラします。
椿 様へ
昔はこんな文章を書いていたんだなあ。。。
としみじみ思う。
うむ、二人ともかっこいいですね。
カレンもマユルも意地を見せている。
それが分かります。
いつもコメントありがとうございます。
(/・ω・)/
2014/12/06 19:37 | LandM [ 編集 ]
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