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2010/04/29 (Thu) 6話『勇者と魔王』




ガシイイイイイイイイイイイ!!!!


カレンは潰れおちたマユルの頭を踏みつけた。
そこにはカレンとしては珍しく――――焦燥と怒りが入り混じっていた。
事、戦闘に関して言えば、冷静に対処してきた記憶がある。
それはカレンが思うとおりに戦ってきたからである。
それまで対等にカレンと戦える人間はいなかったともいえる。









カレン「……さがれ。ガキ。
    テメエに付き合っているヒマはねえ。
    これ以上戦うって言うのであれば、殺し合いになるぜ。」

マユル「………ぐ!!」


カレンは『殺し合い』と言った。
彼女にとって、戦いと殺し合いは明確な線引きがある。
戦いは武器と武器との小競り合い。
カレンに殺し意思は介在せず、ただ相手を屈伏させることを主眼に置いている。
彼女のような人間にとって、その辺りは明確に線引きをしたいらしい。
人間タイプの生命体と相対したときに、彼女は最初は必ず戦いから入る。






殺し合いをしないのは、軍から止められているのと、カレン自身のこだわりから発するものである。
むやみやたらに人を殺すのは勇者ではなく単なる虐殺者。



そのポリシーがカレンにはあった。
今までのマユルとの戦いは言ってみれば遊びである。
純粋に戦いに没頭して楽しんでいたのである。
殺し合いになれば、カレンは殺すことを最優先に置く。
そこに快楽もなければ、楽しみもない。
純粋なる殺意によってのみ、相手を殺す。





それがカレン・エスタークという人間だった。
龍や化け物など人間タイプの生命体はただただ無慈悲に殺し、人間タイプの場合は判断をして殺す。
彼女が虐殺者ではなく、勇者と呼ばれる所以であった。




――――――――それに相対する魔王の声のみが空間に鳴り響く。









クロン「我、力の一端を解放する。
    彼方の空間にありし閃光。
    人はそれに憧れる。
    あるものはそれにたどり着きたいと。
    ある者はそれに眺め続ける。
    ある者はそれを神と崇める。
    すなわち、星の輝きなり。
    彼方にあるからこそ夢を見る。
    希望を持つ。
    そう。
    星とは民の希望と夢の輝きなり。」






カレン「詠唱……超遠距離からか!!??」


カレンのいる空間は敵と思わしき物体はいない。
それはカレンが周囲を見渡さなくても分かる。
殺意を感じ取ることができる彼女であれば、いま詠唱を唱えている人物がこの空間にいないことは明白だった。





つまるところ遠距離。
しかも、カレンが届かない領域にいる。
ならば、以前の魔女のように詠唱の魔力の波動から辿ればいい。
カレンはそう思ったが、そのような下手を魔王は取らない。




top_convert_20091003145008.jpg

カレン「魔力波動が検出されない……!!ち!!場所の特定ができん!!」

クロン「私は魔女のように下手は打たん。
    勇者―――――。
    人間にとっての魔王は正体不明で恐怖の対象でなければならんのだよ。」


クロンはギミックを凝らして、魔力がどこから検出されているかを分からないように細工してあった。
純粋な魔力ということで言えば、シェクスピアやアズクウェイドの方が高い。
だが、禁呪の戦闘という方面で言えば、技術面でクロンを上回る人物はいない。
クロンは禁呪を調理器具のように気軽に簡単に使って見せるのである。
それがクロン・ウェスターノ。魔王の戦い方である。






クロン「はじめましてだ。
    勇者様。
    古今東西。
    勇者が魔王を倒す話はいくらでもある。
    そのどれもが共通していることがある。
    それは愚かにも魔王が勇者の前に出ることだ。
    力を侮っているんだか。
    それとも直接対決の美酒に酔いしれているんだか知らないがな。
    そんなことをするから、魔王って生き物はいつだって勇者に倒されるんだ。
    今までの魔王っていうのは本当に馬鹿な生き物だ。
    ああ、本当に馬鹿だ。
    そうやって、魔王はその力を存分に発揮するも、勇者に敗北するんだ。
    私は違う。
    勇者の力の侮らない。
    加えて、直接対決のセンチメンタリズムに酔いしれる気もない。
    勇者の前に出てこなければいい。
    だって、そうじゃないか。
    勇者の前に出なければ、物語は終わらない。
    人間にとって魔王は恐怖の対象であり続ける。
    魔王って生き物は影でコソコソ策謀めぐらしているときが一番の魔王らしいときなんだよ。
    らしくないことはやるなってことだ。
    さて、はじめようじゃないか。
    新たなる時代の勇者の魔王の戦いってやつを。」



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comment











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カレンさん……。

「基準」のつけかたが間違っているんじゃないでしょうか……(^^;)

たしかに「人間」を守護してるにはちがいないけどさあ(^^;)

でもまあそこが人物設定の上でオリジナリティにあふれていて、実にさすがな、いいところなんですが(^^)

2010/04/29 06:46 | ポール・ブリッツ [ 編集 ]


ポール・ブリッツ様へ 

ポール・ブリッツ様へ
確かに妙にずれている観はありますね。
まあ、カレンの設定上そうなっているというのもありますけど。
カレンにとって、マユルは格下の相手なので、別にどっちでもいいというのもありますね。
貴族の娘なので、それで価値観がずれているというのもあるのかもしれないですけどね。

2010/04/29 07:10 | LandM [ 編集 ]


 

やっと、真打ち登場ですね。
美しい者同士の戦い。
ビジュアル的にもう~~たまりませんね。

2010/04/29 15:18 | ぴゆう [ 編集 ]


びゆう様へ 

そうですね。
ようやく二人が交差しました。
もう最終章直前だというのに、なかなか会わない。
この二人がかみ合うまで時間がかかったなあ。。。

いつもご愛読ありがとうございます。

2010/04/29 16:10 | LandM [ 編集 ]


 

マユルくんとの迫力いっぱいの戦闘が終わったと思ったら、それが前座に見えるほどの存在感でクロン様。

豪華だなあ!!
何ていうか、ひとりひとりに華がありますよね。
引き込まれます。
ドキドキです!

2014/12/07 15:47 | 椿 [ 編集 ]


椿 様へ 

一人一人豪華に作っているのが、グッゲンハイムの特徴です。
キャラクターを信念をもって作っているので。

その中でも突出しているのが、魔王と勇者なので。

いつもコメントありがとうございます。
(´_ゝ`)

2014/12/07 20:52 | LandM [ 編集 ]


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