ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
カレン「……ち。」
カレンはクロンの魔法の衝撃でまともに吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたカレンは崩れかけた家屋の中に突っ込んだのである。
通常であれば、瓦礫などは問題ないが、急激に魔力を使用したため、マッジクシールドが追いついていない。
その結果、頭から少し切れ傷ができている。
出血は多量ではないが、問題は問題だ。
グッゲンハイムの大陸の人間に含まれている魔力は体内の血液に含まれている。
すべての魔力の循環は血液が運営していると言っても過言ではない。
そのため出血することは重要な意味を持つ。
カレン「そろそろ引き際だな。」
これ以上、戦うのはあまり得策でない。
能力制御に加えて、聖剣もろくに力を発揮できないように制約されているカレン。
彼女の母国デュミナス帝国によって能力制御されているのだから、国家にそれを申請しないとカレンは100%の力を発揮できないようになっている。
カレンが暴走しないように、手綱をしっかりしているということである。
この状況下で、命を賭ける戦いをするのは愚行だ。
全力で戦えるのならいざ知らず、このまま死ぬのは後悔が残る。
体勢を整えて、軍を率いて魔王に戦いを挑まないとフェアな戦いにならない。
カレンはそう判断した。
魔王もおろかではない。
むやみに占領した市民に苦痛を与えることはしないだろう。
それはなんとなくカレンは分かっていた。
―――――――――――――――ヌル。
その思った瞬間、カレンの手に生暖かい感触がした。
熱い。
いや、暖かい血の感触だ。
自分の血液ではない。それは分かる。
自分の傷の度合いが分からないほど、正気を失っていない。
これは他人の血だ。
カレン「―――――――――――――――!!!」
そこにあったのは壊れた人形のように朽ちていた死体であった。
家屋の瓦礫に巻き込まれた形跡があり、それはボロ人形のようになっていた。
四肢がまともにあるとは言い難い。
確かにつながっているが、建物のがれきに寸断されそうになっている部分がある。
その寸断されかかっている部位から見えるのは、綿ではない。
肉であり、内臓であり、骨であり、血である。
傍目から見ればそれはグロテスクと評される。
見た目はよろしくないし、鉄の臭いがする。
時間がたてば、腐臭が巻き起こる。
災厄の代表格とされるものである。
カレンはそう思わなかった。
人の身体は生きている。身体を構成するものであり、本質の一部である。
尊きものであり、愛でるものである。
しかし、これは。
カレンの勘が障った。
カレンは自分のいる前では弱者である一般市民を死なせないように常に善処をしている。
少女「パパとママを殺した魔王をころして下さい。」
そして、カレンの耳にその言葉が反芻した。
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