クロン「…………………!!!!爆発か……どうなった!!」
クロンが怒号を上げても誰も答えられない。
クロンが分からないことは誰にも分からないのである。
つまるところ、さっきの爆発で状況が分からない。それはシュラインも変わらない。
クロン「しかし……さっきの爆発は……なんだ??」
クロンは違和感を感じていた。
確かにクロンもカレンも生きているかどうかは心配である。
彼らがどうなっているかで、戦局が大きく変わる。
かなり重要な要素であるが、それよりも大きな違和感があった。
異質な感触がクロンはしたのである。
単純な魔力同士の衝突による爆発ではない。
もっと異次元の爆発が発生した。
そのように感じたのである。
時間が歪んだ?
空間が歪んだ?
もっと根本的な世界の理が歪んだ?
……そんな何か世界を構成する何かが歪んで爆発したような気がした。
クロン「…………。」
クロンはしばらく考えて、止めた。
これ以上考えても分かるはずがない。
そして、考える余裕もない。
クロンたちは戦争をやっていて、そして指揮官をやっているのである。
それを放棄して、原因が何かを探ることはできない。
今はシュライン国家と戦争をやっているのだ。
そして自分は全ての責任を担っている魔王なのである。
今は目の前にことに集中した方がいい。
出なければ、すべてはご破算になる。
クロン「レイビア!!」
レイビア「こっちはなんとか……結界の部隊は倒せたわ。……この後は?」
レイビアの返信をクロンは笑って返した。
これで結界が解除されることはまずあり得ない。
残っている部隊は1部隊。
たかだか一部隊で解除するとなると、相当な時間がかかる。
加えて、龍の部隊が襲っているのである。
事実上、結界解除部隊は崩壊したと考えてよい。
問題は戦争の終わらせ方だ。
仮に、クラッシュ ソードがやってくればこの戦闘は泥沼化する。
そうなると、クロノス自治区の勝ち目はないとは言わないが、勝てるかどうかわからない。
勝率は50%程度だ。
クロンの知識とギミックを凝らせば、勝利に持ち込むことはできる。
しかし、それは確定ではない。
だったら、和平をした方がましだ。
要は、隕石を本庁に落とす。
この脅しが効くかどうかの問題だ。
効かなければ、本当に隕石を落として、強制的にアイアトーネ市を制圧する。
そして、交渉に持っていく。あるいは、クラッシュ ソードの対策を練る。
相手も急転直下でやってきている。
綻びだらけのはずだ。
攻めるチャンスはある。
この先の状況が読めない。
マユルとカレンの生存が分からない。
隕石落としの成功の有無も分からない。
確実に効果が期待できるのはレイビアの部隊だけだ。
この駒をどう動かすか?
クロンの手腕が問われる。
確実な効果が期待できるなら、確実な戦略を取るのが道理だ。
奇襲やフェイクを作る必要はない。
……ならば。
クロン「鬼部隊を率いて、正面からアイアトーネ市を攻めてくれ。その先に真紅の女がいる。」
レイビア「……ほう?」
クロン「その道程には国境警備隊もいるだろう。苦労するが大丈夫か?」
レイビア「私を誰だと思っている?無論、行こう。」
隕石落としが失敗する可能性を考慮に入れれば、念のためは必要だ。
レイビアの部隊まで奇襲をかければ、隕石落としが失敗した際に総崩れになる。
それを防ぐためには、どこかの部隊に確実性が求められる。
カレンがいるのは嘘ではないはずだ。
生死は知らない。
存在はしているだろう。
どういう状況下は知らないが。
……さて、後は勇者と竜王はどうなっているか?
それに尽きると考えているクロンだった。
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comment
こういった時、指揮官がアホだったら悲惨だろうなぁ。
瞬時に状況を判断し対策を立てる。迷いがないから部下は安心してついていける。
大事だわ。
私なら一兵卒だな。
もちろん、魔王側がいい。
2010/05/11 12:25 | ぴゆう [ 編集 ]
びゆう様へ
ちなみにサハクもそれなりに優秀な指揮官ですよ。
人間味にあふれている人間象をしている・・・つもりです。
まあ、彼は『第2次魔王侵攻』の主人公なので、今回はあまり出てこないですけどね。
確かにクロンは優秀ですね。
そういった面に関しては。
いつもご愛読ありがとうございます。
2010/05/11 20:30 | LandM [ 編集 ]
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