カレン「ここは……?」
瓦礫の中……といえるような場所ではない。
どうやら、どこかの避難施設の中のようだ。
暗く……そして、地中に埋められたシェルターのような印象を受けた。
少女「勇者様。」
カレン「…………ん?」
そして、目の前には少女がいた。
見覚えがある。
さっき龍から助けた少女だ。
少女は心配そうにカレンを見つめていた。
カレン「…そうか。」
さっきは肉塊を見て、逆上していたが、そういえば、アレは別に少女に肉ではない。
別の人物の肉片である。
どうにも、守っている対象の血肉を見ることはあまりなれていない。
それは、カレンの尊厳にもかかわる問題であったからだ。
カレンは確かに人殺しだが、人に血肉を見るのは好きではない。
むしろ、嫌いの部類に入る。
それでもこの仕事を続けているのは、誰かがやらなきゃいけない仕事だからに過ぎない。
ぎゅ。
カレンは思わず感情的になって少女を抱きしめた。
少女の身体は思った以上に小さいと感じた。
これはカレンが大柄な女性ということも起因の一つとなっている。
少女「あの……勇者様?」
カレン「いや…単純にお前が生きていて良かったと思っただけだ。」
カレンは抱きしめながら言った。
死ぬより生きていたほうがいい。
それは誰もが考えることである。
特に戦争という異常状態では、誰もが死ぬ危険性を孕んでいる。
その中で生き残ることは一種の奇跡である。
少女は今生きている、という奇跡をカレンは純粋に喜んでいるのである。
すうっ。
そして、カレンはすぐに離した。
ここで感傷に浸っている暇はそこまでない。
爆発の衝撃でアイアトーネ市本庁からかなり離れてしまっている。
すぐに行かなければならない。
未分類 | trackback(0) | comment(0) |
<<6話『誓いの続き』 | TOP | 4話『母親の影』>>
comment
trackback
trackback_url
http://landmart.blog104.fc2.com/tb.php/285-75f68816
| TOP |