サハク「これでいい!!
そうだよ!!
この終わり方がベストだ!!
流石なあ!!
魔王は。
狡猾だ。
利口だ。
世渡り上手だ!!」
カレンとマユル、そしてクロンとの激闘が終わった。
サハクは一言、息を吐いただけだった。
その表情に驚きもなければ、恐怖もなかった。
むしろ、ようやく状況が理解できた、と言わないばかりの表情をしていた。
晴れやかな表情に近かった。
部下「も……申し訳ありません。このクロノス自治区のないがしろにした我々軍の……。」
サハク「何を言う!!???
むしろこの作戦は大成功に近いぞ!!!」
部下「は?」
恐怖で震えている部下。
そして、それを笑い飛ばしているサハク。
領土が取られると言うのに、サハクは笑っていた。
純粋に喜んでいた。
作戦が完全に成功したような達成感に満ちていた。
サハク「我々は魔王の深奥を垣間見ることができた!!
これは大いなる成功への一歩だ。
アイアトーネ市があそこまで必死に戦ってくれたからこそ見れた!!
勇者がここまで戦ってくれたからこそ、垣間見ることが出来た!!
我々がここまで乗り出したからこそ、見ることが可能だった!!
ここまで努力をした兵士たちに敬意を表したい!!
これは建前ではない。
本音だ!!!
彼の本性を見ることができて本当に良かった!!
アレが分かると分からないとでは、全く対応の仕方が変わっていたぞ!!」
部下「………はい」
サハク「アイアトーネ市に伝達!!
戦争は終わりだ。
和平条件は全てクロノス自治区の要望通りでいい。
あの男は不満ない条件を提案してくるだろう。
中央の外交官も出せよ。」
部下「分かりました。」
一通り伝達事項を終えた後、サハクはアイアトーネ市の景色を見た。
見事なものだ。
ほぼアイアトーネ市の建築物を壊していない。
若干壊れているところもあるが、街の機能を壊すほどではない。
アイアトーネ市の建築物は魔力による耐久性がない。
その建物をほぼ壊さずに戦争を終わらせるとはほぼ奇跡に近い。
それぐらいの妙技である。
それでいて、魔王の軍の消費はゼロに近い。
鬼や龍の損失が若干あるだけだ。
正規軍を全く投与せずに勝つなんて反則である。
戦争というのものを愚弄しているに等しい行為である。
そして、勇者を倒した手際。
アレが魔王の真骨頂ではない。
もっともっと上の技巧を凝らすこともできるだろう。
この戦争は完全に魔王の勝ちだ。
それはそれでいい。
あの手際を見せてもらっただけでも、戦争に負けた甲斐はある。
アイアトーネ市には悪いが。
サハク「ネーネ。一つだけ質問をする。」
ネーネ「何なりと。」
サハク「勇者と創造精霊は魔王の正体に気づいたか?」
ネーネ「断言します。気づいていません。」
サハク「だろうなあ!!……あの二人は本物のバカだからな。」
ネーネ「これからどうなさるつもりで?」
サハク「次の戦争の準備を始める!!
フェルトとの戦争はやめだ!!
デュミナス帝国を取りくさせて、休戦をする。
これで魔王に勝てる算段が出来た!!
勇者に勝てる算段が出来た!!
いつだって、世界を治めるのは勇者でも魔王でもないんだよ!!
人だと言うことを思い知らせてやる!!」
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