その9!! 心臓の力が回復した後、人工心肺を停止
現在の心臓外科の用いている心筋保護液は、残念ながらまだ完全とはいえない。
心筋保護液使用による心停止後は、心停止前よりも心臓の力は若干おとろえてしまうんだよな。
まあ、所詮はまがい物ってことだ。
まがい物では本物に近づくのは難しい。。。
そういうことなのかもしれないが。。。
実際はどうなのかは知らない。
それはともかく。
手術操作により、心臓への負担の原因は取り除かれ、心臓は楽になる。
・・・が、心臓への血液、酸素の供給の停止、そして再開は心筋細胞に一時的にダメージを与える。
術後一時期は、心臓の力がおとろえる結果となる。
血液再開直後から約20分程度で、
心臓の収縮はかなり改善すると言われているが・・・
多くの場合には、心臓の力を強める点滴薬(強心剤)を使用する必要があるんだよな。
心臓が十分な収縮力を回復した後、
人工心肺からの血液の送血を徐々に減少させ、
体への血液の供給の役割を心臓に戻す。
心臓が十分な血液の拍出が可能になった後、人工心肺を停止する。
念には念を。
・・・とモットーに心臓の機能を再生させるってわけだな。
その10!! 出血している部位を止血、ドレーン・一時的ペースメーカーのための電線の装着
。。。長くなったな。
この世界も。。。
人工心肺の使用中は、人工心肺や血液を流すチューブの中で血液が固まってしまわないように、
ヘパリンという血液を固まりにくくする薬を使用する。
(人工心肺使用終了後は、ヘパリンの作用を中和し、血液を固まるようにする薬を注射する。)
また。
人工心肺の使用中に、血液の中の血液を固まるように(出血を止血させる)する物質が消費されて少なくなっている。
これらのことから、心臓手術後は、手術をした部位より、
若干出血しやすい状態になっているので、出血がないかどうか、確認し、出血を認める場合には、その出血を止める必要がある。
止血が確認されても、微量の出血は数日間続くため、心臓の周囲に、
術後、出血を体外に出すための管(ドレーンを)通常2本挿入し、
皮膚のトンネルから体外に出しておくのだ。
また、術後は、脈が遅くなったりする事により心臓の機能が悪化することがあり、
術後の数日間、一時的な心臓の電気刺激による脈の増加を行う・・・(一時的ペースメーカー)ための電線(ペースメーカーリード)を
心臓につけ、体外に導いておく。
よく手術が終わると管だらけで返ってくるだろう。
あれは出血を外に出すためのものなんだよ。
体内で血が溜まると大事になるからな。
それを外に出して排出することが大切なんだよな。
ついでに言うと。
心臓手術では一時的にペースメーカーを付けることもある。
ペースメーカーが何か・・・?
・・・グールグ先生に聞くんだな。。。
そこまでは説明しないぜ。
長くなるしな。。。
また別件の手術があれば、説明するさ。
あるのかどうかは知らないが・・・
この小説作るのも大変なんだぞ。
医学小説だからな。
その11!!
心臓に到達するために切開していった部位を縫合閉鎖。
出血が止血された後は、心臓に到達するために切開していった部位を、糸を用いた縫合等により閉鎖していく。
つまり、逆に戻って縫合していくってわけだな。
ちなみに。
切開した胸骨は、ステンレス製の針金で閉鎖する。
この針金は、そのまま体の中に残ったままになるが、通常は特に問題とはならん。
うちの病院では、皮膚の下の皮下組織、皮膚等の縫合には、数週間でとけてしまう縫合糸を使用しているからな。
医学も最先端になってきたなあ。。。
最後!! 手術終了
皮膚の縫合が終了すると、手術は終了だな。
私はここで終わって帰る・・・という寸法だな。
まあ、この後、ICUに行って、麻酔の調節とか血圧の調節とか諸々あるのだが。
そこは看護師でもできるし、医師が一人いれば、調節可能な領域だからな。
私のお仕事終了!!
皆が分かる心臓手術の世界!!
・・・・・・・・理解が少しでもできれば、
今回の小説を書いた甲斐があったな。
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comment
こんばんは。今回は誰でも分かる。心臓手術、ご解説お疲れ様です!
心臓手術は難関すぎでマジヤバい手術ですよね…。
「体外循環」は薬学部時代を思い出しました~。色々と勉強に
なった&愛楽さんの一人ツッコミも楽しく読ませていただきました♪
昨日はカッコイイ&素晴らしい、MM様が描かれたサムライに
コメントありがとでした☆また、グッゲンハイムで
サムライ登場したらテンション上がりそうです!
では読んでくださり、ありがとでした♪
2017/12/02 18:59 | 風月時雨 [ 編集 ]
こんばんは
今回は愛楽先生による説明ですね
これでもかなり簡単に説明してくれているかと思うと・・・・
手術の腕もさることながら知識もかなり詰め込んで
それを状況に合わせて瞬時に判断してやっていくのを考えると
ものすごい心身ともに疲弊してしまいますよね
それにしても先生の1人コントを見ているような
ツッコミでしたね(笑)
2017/12/02 20:22 | 荒ぶるプリン [ 編集 ]
おつかれさまでした。
愛楽先生も、LandMさんも。
執刀医の愛楽先生はさぞ大変だったろうし、作者のLandMさんは素人である私たちに分かるようにこれだけまとめるのがさぞ大変だったことだろうなあと……。
医療小説は一時ハマりましたが、それこそ手術は成功して当たり前くらいに思っている患者側がいかに楽観的であるのか、読むたびに思わされます。
そして、医療に従事なさる皆さまがどれだけ神経を使って仕事をなさっているのかにも敬服します。
あと今回改めて、以前自分が心肺停止になった時に回復したのは幸運だったんだなーと実感するとともに、気が付いたら体中管だらけになっていた理由もよく分かりました(笑)(意識がない間に手術されてた)
さてさて、大変な手術は終わりましたが物語はこれから……ですよね。愛楽先生がリスクを承知で手掛けた難手術、ハッピー……はないのにしてもグッドエンドを迎えられるといいのですが。
風月時雨 様へ
そうですね~~。
薬学でもこの辺は勉強しますものね。
私のエセ手術手順でも勉強になるのだろうか。。。
・・・と思って描いておりますが。。。
まあ、学生時代を思い出すという意味ではお互いにタメになりますよね!!
毎度、コメント返しありがとうございます!!
2017/12/03 08:30 | LandM [ 編集 ]
荒ぶるプリン 様へ
まあ、アレです。
心臓手術はヤバイ。
・・・ということだけ伝わればそれでいいです。
患者にとっては丸投げでしょうけど、
心臓手術は危険なのです。
・・・ってことが分かることと。
愛楽先生の一人コントを楽しんでいただければよいです。
毎度コメントありがとうございます!!
(ノД`)・゜・。
2017/12/03 08:31 | LandM [ 編集 ]
椿 様へ
あ、そうですね。
医療者は大変。
普通のサービス職とは違う。
・・・ってことが伝わればいいんじゃないですか。
それが伝わって何よりです。
まあ、今回は手術は成功しますので。
大丈夫です。まあ、GOOENDになるので、ご心配なく。
細かいところと自分の体験を交えてのコメント感謝!!
(ノД`)・゜・。
2017/12/03 08:35 | LandM [ 編集 ]
ほへ~
す、すっご~い。
愛楽先生もすごいのですが
LandM様もすごいのですぅ。
なんとなく心臓手術ってたいへん
なんだろな~としか思ってませんでした
けどこんないろいろたいへんなんですね。
まぁ手術はみんなたいへんでしょうけど
コレはやりたくないかも?
リスク高過ぎですよね。
だけど患者様は、助けて欲しい
一心だし、なんか手術したら
大丈夫とか素人は思っちゃいます。
ちょっといつもと違う目線で
見れて勉強になりました。
2017/12/03 11:00 | TYPE MM04 [ 編集 ]
TYPE MM04 様へ
ああ、解釈的にはそれでいいですよ。
医療者もリスク背負って手術しているんですよ。
結局のところは。
それが医者ってもんです。
医療ってもんです。
それが分かってくれただけでも、この小説を読んでくれた甲斐があるというものです。
ありがとうございます!!
(●´ω`●)
2017/12/03 13:02 | LandM [ 編集 ]
こんばんは^^
今回は、詳細な心臓手術の手順を一通り見て来ましたが・・・
いやぁ、やっぱり心臓手術って、恐いですねぇ^^;
血の話に弱い自分は、何だか読んでてフラフラになりました><
やっぱもう、煙草吸うの止めよ^^;
2017/12/03 18:59 | 『剣』と『弓』@38(t)戦車製作中! [ 編集 ]
『剣』と『弓』@38(t)戦車製作中! 様へ
大丈夫です。大丈夫です。
手術した後に、煙草・・・そういう看護師や医師もいます!!
人の治療していても、煙草を吸う。
それほどまでにストレスがある。。。
それが医療職!!
・・・・全然、説得力がないな。。。
(´_ゝ`)
毎度コメントありがとうございます。
_(._.)_
2017/12/03 19:04 | LandM [ 編集 ]
いくつか割愛していても分かり易く説明するのは、
やっぱり大変ですね~。
心臓もいつも動いていて当たり前、
それを止めてその間に手術する。
しかも時間制限つきと来たら、
確かにこんな難しい手術は避けたいと思うのが常でしょうしね。
今回も難しい手術になりそうですが、
是非とも成功して欲しいところです(´∀`)
ツバサ 様へ
ううむ。
私的には簡単に書いたつもりなんですけど。
やはり、普通の人には難しいのか。。。
まだまだ精進が必要だな。。。
( ;´Д`)
まあ、心臓手術は心臓を止めて手術するって分かればそれで十分ですかね。
・・・はっちゃけ過ぎか。。。
毎度安定感あるコメントありがとうございます。
_(._.)_
2017/12/04 19:27 | LandM [ 編集 ]
こんばんは。
ううむ。ものすごくわかりやすく説明していただきましてありがとうございました。
なんかこれを読んだら「成功するほうが奇跡ってこと?」って感じがしてきました。
心臓手術をした後何年も生きていらっしゃる方かとか、ドナーの心臓をもらって助かった方とか、ものすごい名医とチームとラッキーに当たったんだね、としみじみ思いますよ。
それに手術の方法を考え出した先人たちも、本当にすごいですよね。
で、愛楽先生の手術も無事に終わったんでしょうね。おめでとうございます。
2017/12/08 04:53 | 八少女 夕 [ 編集 ]
八少女 夕 様へ
・・・ん。
分かりやすかったですかね。
まあ、難しいのは難しい言葉が羅列したのは確かですからね。
理解するのに結構大変だと思います。
書くのも大変。
( ;´Д`)
心臓手術自体、今では普通に言われてますけど。
たかだか50年前に確立された手術です。
歴史も浅いですし、もっと良い方法が確立されると良いのですけどね。
心臓手術自体は危険ですからね。
・・・当たり前ですが。
ドラマの医療モノはファンタジーに近いです。
医者のたゆまぬ努力によってああいうのが確立されているのですが。
夕さんからのコメント非常に嬉しいです。
ありがとうございます。
(≧▽≦)
2017/12/08 09:24 | LandM [ 編集 ]
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