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2018/06/09 (Sat) 4話(11月10日10時 アンリ)

路地裏(昼)

4話(11月10日10時 アンリ)




アンリ
「ミルフィール様には申し訳ないのですが、根本的な対策、
 あるいは理解を求めるための呼びかけなど、対応をしていただけないでしょうか?

  困ったことに陳述書を提出してきた地区には議員の方もおりまして、
 私からは下手に手が出せないのです」



ミルフィール
「はい、このミルフィールにおまかせあれ~~。
 というか、なによりも私自身が獣人ですしねぇ。こんなの見逃せません!
 なんとかしますとも……とはいえ……これはなかなか困りましたねぇ」



アンリ
「ええ。ほとんど言いがかりに近いものではありますが、
 獣人には尻尾があるものもおりますし毛が抜けるのも遠くまで飛ぶのも事実です。

 住宅街では遊び場を公園のみに限っておりましたが、
 それでも苦情を申し出てくる、
 ということにはそれなりの数の意見があったということでしょう」



ミルフィール
「そうですねぇ……こうなったらインフラ整備も兼ねて、
 住宅地と市街地の間にお散歩コースやスポーツのできる施設を備えた公園でも作っちゃいましょうか。
 大きめの公園にして市民の憩いの場として提供するんです。

 公園と住宅街の間を樹木で区切ってしまえば、毛が風で飛び入ることもなくなるでしょうし、
 遊具も多くすれば子供たちも自然とそっちに集まるでしょう」



アンリ
「考えてみれば娯楽面でのインフラはあまり整っていませんし、
 この機会に再整備するのもいいかもしれませんね」



ミルフィール
「じゃあ、そうしましょうか。
 いつも通り、魔王さまが戻ってきたときのために意見書として概要をまとめておきましょう。

 まぁ、ダメとは言わないと思いますけど。決定するのは魔王さまですから」



アンリ
「では、そちらは私のほうで作成しておきます」





ミルフィール
「はい、宜しくお願いしますね~。
 私の方は議員さんへの挨拶回りのときにそれとなく謝っておきます」



アンリ
「お手数をおかけいたしますが、宜しくお願い致します」




そう言いながら僕は机に向き合って資料作りを始める。
苦情をまとめ、対策としての施設づくりの提案。
実際に作るとなれば建築の専門家に頼ることにもなるだろうが、おおまかに必要とする施設や遊具設置に関してもまとめる。

あとはこれを魔王に確認してもらって、承認が下りれば魔王秘書の手により実現に向かって動き出す。



こういうことも含めて魔王の政治能力は素晴らしい。
合理的な判断においてこの人の右に出るものはいないだろう。
だが、本人が表に立ってなにかをやることはほぼない。

実務部分は魔王秘書が請負い、魔王は決定判断だけを行う。

そして、表には影武者の任も請け負っている僕やミルフィール様が出る。
それで十分にこの場所は回っている。
何事もなく今日もこの世界は動いている。








アンリイラスト



アンリ
「……魔王はいま、どこで誰と何をやっているのでしょう」

彼がふらりといなくなるのはそう珍しいことではない。
たとえそうなってもクロノス自治区の政治は当たり前に回る。
そうであるようにシステムを作ってある。
全ては魔王の心のまま。

とはいえ、この自治区の首長は魔王だ。


クロン様は「私にばかり頼るな」と言うけれど。
でも、僕の主は魔王である。
魔王だからこそ、魔王らしく君臨していてほしい。





具体的に言うと、もう少し働け。

自分の忙しさと、ミルフィール様への心配と、ただ純粋な魔王に対する不在の恨みとで感情が混濁する。
そんなことを思いながら少しぼんやりしていると、ミルフィール様が薄く笑みを浮かべた。





ミルフィール
「魔王さまはですね、私たちで十分だと信頼しているから安心して好き勝手できるんです。
 だから大丈夫です。いない、ということは、大丈夫、ってことですから」


そう言って、魔王の奥方はやわらかな笑みを一層深めた。
……少し寒気がするほどに。
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