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2000/11/13 (Mon) 1章2話『臨戦体勢』

クロン「シェクスピア。」

シェクスピア「戦闘準備は大丈夫。いつでもいける。」




シェクスピアはそれなりの礼装を着ている。
すぐにでも禁呪の詠唱が可能な服装になっているのが分かった。
クロンが誂(あつら)えたものも多い服装であり、実用性はそれなりにある。









クロン「わかった。ならば、歪みを感じる場所にすぐ行こう。」

シェクスピア「わかった。」


それを確認して、クロンはミルフィールがごそごそしているのが分かった。
どうやら寝ているフリをしているようだが、クロンはすぐにわかった。








クロン「ミルフィール。」

ミルフィール「……寝てます。」

返事をする時点で寝ていないのだが……おそらく、ミルフィールは気を使って寝たフリをしている。
ミルフィールはいつもこういう重要な出来事には無力な女性であった。
それはとても女性らしく、そして、良い妻でもあった。
そう思ったクロンはミルフィールを起こした。







ミルフィール「ホエ?」

クロン「今は寝たフリをしなくていい。」

ミルフィールはクロンの表情から察した。
この真剣な表情は滅多にない、自分も気を引き締めなければいけないと。








ミルフィール「何か……あったんですか?」

シェクスピア「正確には何かある。」

ミルフィール「シェクスピアさん……。」


ミルフィールはすぐにわかった。
これは緊急事態だと。
この状況になった時点で、ミルフィールにはクロンを手助けすることはできない。
彼女はあまりにも普通であり、無力であるからだ。










シェクスピア「今すぐ避難場所に逃げて。念のため。」

ミルフィール「……それは住民みんなですか?」

クロン「……この近辺だけでいい。」

事態が把握しきれていない。
今は危険な事態なのか、それとも安全なのか。
それが分からない以上、むやみに市民を動かすことはできない。
ならば、クロンの身内とその近辺にいる人だけ動かせばいい。





クロン「近辺の人間には突然の避難訓練だと言ってくれ。強要して避難場所に移動させる必要はない。」

ミルフィール「わかりました。」

その辺りは、日常的ではないがたまにやっていた。
迫害されて生きていた背景がある住民は危機意識については敏感であった。
ミルフィールを含めてそれなりに防衛力もあった。
つまり、避難訓練をやるといってもそこまで非難されることはないのがクロノス自治区の住民の特性であった。









クロン「私からの合図があったら、全員を避難場所に移動させるよう指示を飛ばしてくれ。」

もっとも、そういうときに避難場所にいても無事である保証はどこにもないのだが。
それでもしないよりかはいい。
クロンは自分で言い聞かせるように、ミルフィールに言った。

シェクスピアはその間に窓から景色を眺めていた。
遠い眼つきで眺めていた彼女は家族のことを思い出していた。

家族のことを忘れきれていない彼女は危険が迫ったときにいつもぼんやりと景色を眺めて家族のことを思い出していた。








シェクスピア「いこう。クロン。」

クロン「ああ。」

ミルフィール「はい……。クロン様、ご無事で。」

ミルフィールも普段はほんわかしているイメージがあるが、平和ボケをしているわけではなかった。
故郷の村では隠れて住んでいた彼女にとっては、それなりの危機意識があった。
そして、危険が迫ったら情け容赦なく大切な人が死んでいくことも………。








シェクスピア「心配しなくても私が守る。もともと魔王は戦闘クラスじゃない。引き際はわきまえてるさ。」

ミルフィール「………。」

頼れる者がミルフィールに言われても、心配が完全に消えるわけではない。
いつ死ぬかというのは、誰にも分からない。
突然死ぬこともあれば、死すべきとき死ぬ時もある。

今が、どの時なのかはミルフィールには判断できなかった。
結局、彼女はその一瞬一瞬を後悔しない行動を取ることであった。


クロン「行ってくる。」

ミルフィール「生きて帰ってくださいね。……愛しています。」

クロン「私もだ。」


後悔しないこと。
それは愛するものに気持ちを伝えることだとミルフィールは感じていた。

名残惜しい表情をしている。
それでもクロンとシェクスピアは大切な者を守るために外へ出て行った。


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ミルフィール! ミルフィール! 

こんにちは~!
そろそろ不穏な気配が……! と思ってドキドキしていましたら、ミルフュールの
「……寝てます」
に激しくときめいたわたくしです。
いや~、ミルフュールかわいいですねえ!
シェクスピアの家族を思う気持ちにもグッときました。
みんな登場人物が生き生きしてます。凄いなあ……
また勉強させてもらいますね~

2010/02/05 11:43 | 孔雀堂 [ 編集 ]


Re: ミルフィール! ミルフィール! 

孔雀堂 様へ。
どうも。LandMです。
ミルフィールは相変わらず人気ですね。
……どうにも筆者・絵師共に結構ほっといている存在なんですけどね。
ミルフィールに限らず、すべてのキャラクターは立ち位置が決まっているので、その関係上生き生きとしているように見えるんだと思います。基本的に私の作る小説の場合は、まずキャラクターを練り込んで作っていますので。ストーリーは2の次にしております。もしよろしかったら、人物紹介も見ると、余計にキャラが目立って見えるかもしれません。機会があればそちらも読んでくださいね。

コメントありがとうございます。

2010/02/05 18:54 | LandM [ 編集 ]


 

こんにちは。
この不穏な雰囲気からどうなるのか気になります・・・・・・!!

いやー、それにしてもやっぱり凄いですよね。キャラが生き生きしていてどんどん話に引き込まれていきます!! 自分も勉強せねば・・・・・・!


それでは!

2010/04/01 17:59 | 風斬空裂 [ 編集 ]


Re: タイトルなし 

風斬空裂 様へ
ご愛読ありがとうございます。
キャラクターを生き生きさせるのは、あれですよ。愛情を込めれば生き生きすると思いますよ。その人の生い立ちや、人生、価値観やどういう思想をもって行動しているか。それを考えてキャラクターを作れば自然と生き生きするもんです。
また、気が向いたら、読んでやってください。

2010/04/01 21:25 | LandM [ 編集 ]


 

この展開の中での「寝てます」はいいですねぇ
登場人物一人一人の愛着があるんだなぁと感じられるお話は、読んでいてホッとします

2015/08/01 11:56 | rainshot [ 編集 ]


 

どもです
この展開の中での「寝てます」はいいですねぇ
登場人物一人一人の愛着があるんだなぁと感じられるお話は、読んでいてホッとします

2015/08/01 11:57 | rainshot [ 編集 ]


 

ごめんなさい
なんか上手くいかないと思っていたら重複していました

2015/08/01 11:59 | rainshot [ 編集 ]


rainshot 様へ 

重複は構わないですよ。
まあ、消したりしないので(笑)。

確かにこの時の小説はよく考えて作っているなあ。
・・・と読み返して思いました。

ミルフィールの平和に対する思いと。
クロンに対する気遣いからくるセリフですからね。
そういうのがいいですね。


また、たまに、でいいので寄ってくださいませ。
コメントありがとうございます。
(*^-^*)

2015/08/01 18:57 | LandM [ 編集 ]


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