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2000/12/06 (Wed) 10話『慟哭』

マユル達の食事は速やかかつ痕跡を残らず終えた。
時間にすれば10分もない。
恐らく短時間で、兵士たちの皮も肉も骨すらもなくなっていた。
龍が骨だけ分けて食べるなんていう器用なことはしない。

死体が出てこないのであれば、人間にとって消息不明になる。



―――――――が、すぐに露見した。








クロン「……………。」

事が分かったのはその30分後であった。
なんてことはない。
マユルは何食わぬ顔でクロンのもとにやってきて、クロンに状況を説明した。
クロンは聞いた瞬間、唖然とした。





クロン「…………。」

マユル「クロン?」

マユルはあまりにも普通に対応して、クロンの心配をしていた。
マユルが他人の気遣いをするのは珍しいことではあるが、そんなことがきにならないぐらいにクロンの全身に緊張が走った。
これは非常に不味い。
下手をしなくても、戦争になる。








クロン「……ああ……すまない。別にマユルは悪くない。」

この一日色々なことがありすぎたクロンは一度服を着かえていた。
度重なる出来事で汗をかきすぎたせいであった。
しかし、それも徒労に終わる予感がする夜だった。

よりにもよって、今日起こらなくてもいいだろう……。
クロンは心の奥底から思っていた。






夢の啓司。
竜の来訪。
そして、隣国シュライン国家の無断侵入。

別々の日に発生したのであれば各自対応ができた。
しかし、それが同時に発生したせいもあり、クロンのキャパシティを大きく超えたことになった。
そのため、抜け漏れが発生したのである。







原因は目の前にいるが―――――。
その少年は普通の表情をしている。





マユル「龍が人間を食べることに問題はあるか?魔王―――――――。それにあれは侵入者だった。」


冷たい声。
それでいて、威圧感がある声。
この目の前にいるのは少年ではない。

――――――――――――――――正真正銘の竜王だ。




マユルには罪悪感と言ったものがない。
それもそのはずだろう。人間を食らうことには何の抵抗も示していない。
人間を食らうのは竜にとって日常茶飯事のことであり、生殺与奪の理でもあった。















クロン「ああ、そうかもな。悪いとしたら私だ。」

マユル「――――そう。」

氷のような瞳が少し解凍している。
単純に心配しているくれているのはありがたいことだし、それなりに信頼しているようで安心をした。


――――問題は、隣国シュラインの兵士は皆殺しにしたことだ。
今回の件について、マユルを責める気はなかった。
どちらかというと、そこまでの注意と警告をしなかったクロンに責任があるとクロン自身がそう思っている。


マユルのとった処置は間違っていない。
クロンが揚げた条件は以下のものであった。
一つ目。このクロノス自治区に住んでいるものを食わないこと。及び、モンスターも含めて。食事はこちらが指定するものを食べること。
二つ目。この自治区が侵略にあることになったら、全面的に協力すること。指揮権はクロンにある。
三つ目。クロノス自治区の政治に一切かかわらない。
四つ目。条件を破れば然るべき措置を取る。




……つまり、侵略者には然るべき措置を取らないといけないことを条件につけた。
マユルは単純にそれに沿って行動をしただけである。
クロノス自治区に別の者――――しかも、それが兵士であったら、それこそ侵略である。
マユルはその条件を忠実に守った。
律儀に状況報告をしに、ここまでやってきたぐらいだ。
竜王というのはここまで忠義に厚いものだったかと感服してしまうぐらいだ。











これが一般人だったら、まだ何とかなる。
かなりの批判はあるにしても、戦争ならずに賠償金などで手打ちにするだけの政治的手腕がクロンにあった。
しかし、グッゲンハイム国際条約違反の竜が生きていて、しかもそれに殺されたとなったらもはや問題外だ。
交渉の段階を吹っ飛ばして、すぐさま戦争になることは間違いない。












マユル「クロン、本当に大丈夫か?」

クロン「あああ……大丈夫だ。」

クロンは自分の戸惑いを隠しきれていなった。
マユルがひたすら気遣うぐらいにクロンの表情は青ざめていた。
これは完ぺきに大誤算だった。








クロン「引き続き、国境付近の警戒に当たってくれ。もし、侵略者がいたら引き続き……食べていい。しかし、武器を持っていない者は食べるなよ。」

マユル「――――――ん。」

そう言って、すぐさまマユルは竜とともに飛び立っていった。
どこかマユルの表情は楽しそうで、自由になった鳥のような印象を受ける。
あのような表情をしている限り、マユルがここを裏切ることは考えられない。


マユルが空を飛び立ったときに痛感した。
これは史上最大の失策だ。

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comment











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初めまして。 

ご訪問、ありがとうございました。
こちらには度々お邪魔してたのに、コメントも残さずですいません。(汗)

マユルくんが無邪気(?)で微笑ましいですね。
その分クロンが苦労しそうな気も…(^^;
やっぱり戦争になるんでしょうか。
これから話がどんな展開を見せるのか、気になっています。
読むのが遅いほうなので少しずつになってしまいますが、また読みに伺わせていただきます。

2010/01/24 23:34 | 鈴代まお [ 編集 ]


悪魔の地獄絵図 

食事の許可が下りた!!
戦争時は食いたい放題だね
そこらじゅうに死体があるし

2011/03/05 10:06 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]


Re: 悪魔の地獄絵図 

そうですね。光景にするとすごいことになるでしょうね。
まあ、あまりこういう光景は絵にしないですけど。
色々ありますので。
まあ、マユルはマユルで縦横無尽に動いております。

2011/03/06 05:38 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


 

クロンの気持ちもわからないではないけど、
そんな気を使わなくてもいいと思う。
侵略者には断固とした処置を取らないと、
甘い顔や善意に受け取っていると
軒下を貸して母屋を取られるみたいにならないとはいえない。
マユルの逡巡のない行動は清々しいくらい。

2012/01/16 15:56 | ぴゆう [ 編集 ]


ぴゆう 様へ 

確かに若干この辺はクロンもぶれているところがあります。
まだクロンという性格を書き切れていないところもありましたからね。
まあ、それでも断固としたところもあります。
マユルはすがすがしいがモットーですね。

2012/01/17 13:07 | LandM [ 編集 ]


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