FC2ブログ
2020・12
<< 1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/ >>
2000/12/09 (Sat) 11話『穴埋め』

クロン「引き続き、国境付近の警戒に当たってくれ。もし、侵略者がいたら引き続き……食べていい。しかし、武器を持っていない者は食べるなよ。」

マユル「――――――ん。」

そう言って、すぐさまマユルは竜とともに飛び立っていった。
どこかマユルの表情は楽しそうで、自由になった鳥のような印象を受ける。
あのような表情をしている限り、マユルがここを裏切ることは考えられない。











マユルが空を飛び立ったときに痛感した。
これは史上最大の失策だ。

シュライン国家が監査をあまりしなかったのは、信頼と妥協もあったと思うがこういう監査の仕方もあった。
つまり、隠密に監査することで本当にクロノス自治区に怪しいところがないか見張っていたということだ。
その上で何も問題がないと判断していたのだ。



シュラインは抜き打ちの隠密監査の可能性を度外視してしまったのが一番の問題だった。
そして、マユルが思った以上にクロンの言いつけを守ったことだ。




マユルはもっと自由気ままに侵略者が来ても見逃すような大雑把な性格だと判断していた。
それとは反して、彼は忠実すぎるぐらいに言いつけを守った。






今日偶然竜がタイムスリップしてきて、そしてシュラインの隠密監査がやってきた。
あまりにもトラブルが多すぎて処理できないぐらいだった。

それぐらいまでのクロンの目の前で起きたことは常軌を外れていた。
例え、そのことを正直に話したとしても誰も信用しない。
当事者であるクロンだって信用しない。







シェクスピア「……どうするの?」

クロン「……どうすればいいと思う?」

シェクスピア「私は魔王の御心のままに。」

結局、そういう判断になる。
この自治区はクロンがつくりし、人間以外の種族のユートピア。
その責任や判断は最終的にはクロンが持っている。
ここに住んでいる者は全て少なからずクロンを神……いや、魔王として敬意を表している。
クロンが正統な理由を出して、宣戦すれば間違いなくついてくる存在だ。





初めにクロンの頭をちらつかせたのは交渉。
なんとかかんとか、話術で四方八方費やしてごまかし倒す。
……いや、無理だ。
必ずボロが出る。
それに疑惑が生まれただけでもう不味い。
異種間の交渉というのは問題があるとすぐに信頼関係は破綻する。
それをクロンは嫌というほど知っていた。







クロノス自治区の交渉人をしてくれている軍人を思い浮かべる。
オウファン・カラス。シュライン国家アイアトーネ市の騎士団長を務めている。
客観的に見ればそこまで大したことがない軍人ではあり、非常に友好的な人物である。
今回の隠密の査察もクロノス自治区が本当に邪な考えを持っていなことを証明するためにやったことだと思う。
そこまで考えて、クロンは思い出した。





オウファン「近々秘密の査察が入るかもしれないので、よろしくおねいがします。」


オウファンは半年前の査察のときにそんなことを小声で言っていた。
クロンに言う時点で秘密でも何でもないが。
それをいまさらのように思い出したクロンは痛烈に後悔をした。








クロン「しまった………これは完璧な私の失策だ。」

マユルの登場で完全に思考からいなくなっていた。
オウファンはクロンのために危険を冒して秘密裏に査察に入るといっていたのに、それを破ったのはクロンだ。
申し開きができない。



だからと言って、人間にひれ伏すことはできない。
そして、竜を差し出すことはもはや論外だ。
マユルが思った以上にクロンを信頼してる状況で、彼を裏切ることはできない。
それはクロンの生き方から反する。
それにそれで状況が好転するかどうかは可能性もあるが、かなり難航するのは難しくない。




ならば、戦うか。
しばらくは可能だが、国力があまりにも違いすぎる。
そのうち、戦力に限界が来る。




方法は閉鎖しかない。
結界構築を完璧にして、人間種族の侵入を完璧封鎖する。
言い方を変えれば鎖国をするということだ。
幸い、クロノス自治区は完全に自給自足ができている。
クロンの知識があれば、農作物の不作も現実あり得ない。
ならば、完全に封鎖をして、侵入者を適時倒していく方法を取らないといけないだろう。







クロン「シェクスピア。」

シェクスピア「ん?」

クロン「結界の抜け道を封鎖してくれ。人間が入れないように。」

シェクスピア「それはいいけど……いいの?」


クロノス自治区の結界は基本的にシェクスピアが管理をしている。
シェクスピアも元をたどればクロンの魅力とその知識に惹かれてやってきたものである。
そのような者にも門を開ける意味でも、余程のことがない限り閉鎖はやらないのが決まりであった。





クロン「それしかない。」


今は手段を選べない。
閉鎖をして、国力と体制を立て直す。
それしなければ、戦うことすらできない。
クロンはなまじ知識がある分、そのことが肌身で分かりきっていた。




シェクスピア「了解。じゃあ、結界構築はやっておくわね。」

クロン「ああ。」


疲れていた。
様々なことに忙殺されたクロンは、その後泥のようにミルフィールと共に眠った。
長い長い一日が終わった。


スポンサーサイト



未分類 | trackback(0) | comment(18) |


<<ミルフィールドキドキ作戦 | TOP | 10話『慟哭』>>

comment











管理人のみ閲覧OK


 

こんにちは、LandMさん。
年末のご挨拶に伺いました。
本年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

魔王、「恐ろしい王様」じゃなくて「魔たちの王様」なんですね。
楽しい解釈でワクワクしてますw
これからも頑張ってください(*゚ー゚)ノシ

2009/12/29 16:54 | 黄輪 [ 編集 ]


Re: タイトルなし 

黄輪様へ
いえいえ。こちらこそお世話になりました。

魔王の解釈は……そういうことですね。
人間から見ると「恐ろしい王様」、魔からみると「魔たちの王様」という解釈でいいと思います。魔物から見ると魔王なんて……なんだろう……内閣総理大臣?じゃないんでしょうか。とりあえず、そういう視点でクロンを書いているのは確かですね。とりあえず、魔界の王様でないのは確かです。怖いかどうかは人それぞれです。

来年も頑張って満足させられる作品を書いていこうと思います。
ありがとうございます。

2009/12/30 07:12 | LandM [ 編集 ]


 

お邪魔します(^ω^)

ここまで読ませていただきましたーv
読むの遅くて本当にすみません、、

人が獣を食べるのだから、竜が人を食べてもいい
たしかにそうですよねー♪♪
でも、マユルくんたちがぐっちゃぐちゃに食べた人たちって査察の人たちだったんですよね? これからどんな事件が起こっていくのか楽しみですっ

また来ます! それでは~(^^)ノシ

2010/01/30 22:14 | 佐槻勇斗 [ 編集 ]


Re: タイトルなし 

どうもLandMです。
また読んでいただきありがとうございます。
こちらとしてもうれしい限りですね。
マユルはそうしたところがズレたところが好きですね。
私も好きなキャラクターの一人です。
この話はクロンが主人公と同時に、マユルの成長日記でもありますので、またご覧になってくださいね。

いつも読んでいただきありがとうございます。

2010/01/31 05:24 | LandM [ 編集 ]


 

はじめまして。足跡をたどって参りました若野と申します。
実は以前からお邪魔していたのですが、本日ついに耐えきれずコメントしてしまいました。
ちょっと過去の記事なのにスミマセン;

世界とか設定がすごく作りこまれてるけど読んでいて混乱する事もなく、キレイな文章だなあと思いました。
役者と事件が揃ってこれからどうなるのか、遅まきながら楽しみに読んでいきます(^^)

また来させて頂きます♪

2010/03/03 23:33 | 若野 史 [ 編集 ]


Re: タイトルなし 

若野 史様へ
初めましてです。
そうですね。穴埋めの段階で役者がそろってきてるので、あとはそれをどう動いていくか……ということになっていますね。まあ……楽しみがなくなっていかないように頑張って書いていこうと思っていますので、よろしくお願いします。

2010/03/04 07:31 | LandM [ 編集 ]


 

お久しぶりです。

長い間、コメント残せず申し訳ありませんでした。

すごいですね。クロンさんに次々と難題が出て・・・
しかし国政を担うという立場ならではのいろんな考え方があり面白いです。
マユルさんも悪気あっての行動ではないでしょうし、それに腹を立てていたら主としても成り立たなくなってしまいますからね。

ファンタジー世界の国政はいろんな状況を作りあげなければならないので難しそうですがLandMさんは、分かりやすく、しっかりと伝えていて感心します。

これからもがんばってください。

2010/03/16 17:20 | 振り替え休日 [ 編集 ]


Re: タイトルなし 


振り替え休日 様へ


ファンタジー世界どっぷりの世界ですからね。
若干SFも交じっていますが。

そんな中クロンはよくやってる方だと思いますけどね。
マユルがこういう行動は何気ないことではありますね。
それでも、頑張るクロンは何気に結構すごいです。

またお時間あるときにコメント残していただければ大丈夫ですよ。
基本的にいつでも大丈夫なので。

2010/03/16 18:21 | LandM [ 編集 ]


またおじゃまします。 

1章を拝読いたしました。

早速の盛り上がりでワクワクします。
クロンが魔王なのに変に人間くさくてもどかしいところがまたいいですね。

ところで閑話の章は、もっと本編を読み進めてからでないと自分の中にしっくり入ってこない感があったので、後日の楽しみに取っておきたいと思います。

ではまた。

2010/06/16 20:07 | 日賀美沙奈 [ 編集 ]


日賀美沙奈 様へ 

ご愛読ありがとうございます。
そうですね、クロンはあえて人間くさく表現しています。
その方が馴染みが出るというのもあ利ますけどね。

閑話は・・・まあ、直接お話とは関係ないので飛ばしていただいても大丈夫ですよ。
またそちらの方に行きますね~。

2010/06/17 06:06 | LandM [ 編集 ]


 

一章よみきりました!!
緊迫しました。

人間は簡単に食べられていくのはすごいです。
描写もすごいですね。

また来ます。

2010/10/22 12:23 | ありま氷炎 [ 編集 ]


ありま氷炎 様へ 

おお、ありがとうございます。
まあ、のんびりでいいので、また読んでくださればと思います。

確かにかなり簡単に人間が食われるのは壮観ですね。。。

コメントありがとうございます。

2010/10/22 18:39 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


 

戦争になるっぽ?
人間側からしたら口実はすでにできてる
兵士を殺されたんだから交渉は無理でしょうね

2011/03/06 22:56 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]


★ハリネズミ★ 様へ 

そうですね。
この辺の交渉は省いていますが、険悪になるのは間違いないでしょうけど。
やむえないと言えば、やむえないですけどね。

2011/03/07 08:47 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


 

1章拝読しました。
いきなり、スケールの大きな展開で驚かされ、マユルくんの冷たい魅力にドキドキしながら読みました。
クロンさんは苦労が多くて大変ですが……これから自治区をどうやって守っていくのか。
楽しみに読ませていただきます。

2014/11/16 13:39 | 椿 [ 編集 ]


椿 様へ 

スケールは確かに大きくなりますね。
モットーは戦争なので。
それをファンタジーで語ると大きくなるのですよね。
これからどうなっていくかはまたお読みくださいませ。

2014/11/17 18:09 | LandM [ 編集 ]


 

いつもお世話になっています

種の違いは常識の違い、なんですね
人だけで文化が違うんですから当たり前のようですが…当たり前ですませられません
竜は自分の常識を通せる力がある
人は自分の常識を通させる力がある
とすれば、クロンは他人の常識をどう捉えてるんでしょう
尊重しているのか、合わせているのか、元々似ているのか…
いろいろ考えさせられますね
またきまする

2015/09/20 13:15 | rainshot [ 編集 ]


rainshot 様へ 

お忙しいところありがとうございます(⌒‐⌒)

確かに種族で価値観は変わるでしょうね。
地球でも民族の価値観の違いがあります。
そういった価値観を融和して調節するのが魔王のたしなみというところですね。

クロンは、、、まあ、とりあえず話し合えるのなら分かり合う方針を貫く人ですね~。

ファンタジーのコメントありがとうございます\(^o^)/

2015/09/20 18:14 | LandM [ 編集 ]


trackback

trackback_url
http://landmart.blog104.fc2.com/tb.php/47-3831d721

| TOP |

プロフィール

LandM

Author:LandM
この小説を書いている人たちを指します。
作品によっては一人で書いていたり、複数で書いていたりします。
LandMとはその総称です。
よろしくお願いします。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

カテゴリー

月別アーカイブ

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード