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2000/12/19 (Tue) 1話『鋼鉄の博愛主義』

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シュライン国家アイアトーネ市。
クロノス自治区に隣接するこの場所はどちらかというと辺境の土地である。
大陸の東の端ということもあり、敵国の存在もなければ貿易もない。
シュライン国家にとっては、軍事的にも経済的にも大した拠点ではないことは確かである。





そのアイアトーネ市の中枢機関は騒然としていた。
それもそうだ。何といっても、シュライン兵士が300年前に滅んだはずの竜に殺されたのである。
この情報は瞬く間にアイアトーネ市を回り、中枢機関ではもはや知らぬものはいないレベルにまで達した。

現在、アイアトーネ市の議会は緊急招集をかけてその後の対策を練っている。
今まで通り交渉すべきか。
それとも強い姿勢の交渉に移すべきか。
強硬して、有無も言わさず進軍するか。




大枠としてはこの三つに分かれていた。
大勢としては進軍派である。
異種に対しての無理解と人間が優越であるという人種プライドが心の根底にあるからだといわれている。











オウファン「まあ……そういうわけですよ。魔王閣下。」

クロン「なるほどな。」

議会の騒然さとは程遠い世界がそこにあった。

石造りの冷たさ。
鋼鉄の牢獄。
外界とは遮断された湿気と暗さで満ち溢れた世界であった。

つまるところ、ここは牢獄であった。
アイアトーネ市共同牢獄所であり、アイアトーネ市でもっとも多い牢獄である。
その中にオウファンとクロンはいた。






オウファンは今回の事件の責任を取らされて牢獄に入れられていた。
オウファンは親魔王派として、辛抱強く交渉を続けてきたのである。
例え人口が少なくても、軍事面経済面は侮ってはいけない。この自治区に喧嘩を売る行為は絶対に控えるべきである。
そう進めてきた結果が今回の竜事件である。
アイアトーネ市議会からは今回の事件は長年クロノス自治区の自由を尊重しすぎた結果起こったものであると判断を下した。






クロン「オウファンには迷惑をかけた。済まなかった。」

そのことをいち早く察知したクロンはすぐさまオウファンのいる牢獄へと侵入した。
アイアトーネ市の状況確認とオウファンの安否の確認のためであった。
クロンはたとえ人間であろうとも、その愛することを忘れない魔王であった。
だからこそ、オウファンも長年クロンと交渉を続けたのである。







オウファン「いえ、まあそうなるとは思っていましたし。」

牢獄に入ったオウファンは少し清々しい表情をしていた。
自分の意思とやってきたことを貫いてきたという感情があるのだとクロンは察した。
クロンとしては、後悔や憎悪の感情を抱いていないオウファンに感謝の意を表したかった。
そう思わせるほどのオウファンの態度であった。

それでも多少疲れていか、やつれている表情をしているのはクロンの気のせいなのか。
それとも、事実だったのか。
現実として、牢屋での生活は心穏やかなものではないことは確かだとクロンは思った。









オウファン「それはそうと……これから魔王閣下はどうなさるおつもりで。」

クロン「さあな。先のことは分からん。とりあえずは結界が破られそうになるまでは静観するさ。」

一寸先は闇という言葉もある。
クロンはここ数日で身をもって体験したことだった。
迂闊に戦争状態になっても、双方に得はない。
現状から考えても10重にまで構築した結界を破るのはどんな魔術師でも丸2日はかかる。
アイアトーネ市の魔術師の質にもよるが、破られる前に再構築する方が早いとクロンは考えている。








オウファン「相変わらずの博愛主義者で。」

クロン「そうかもな。」

そんなクロンの態度にオウファンは敬服していた。
魔王というのはこのように優雅で他人を畏怖させる存在なのだろうと実感した。

それでも同じ生き物だと感じさせる優しさも備えている不思議な人物だとオウファンは思っている。
自分のような――――言い方を変えればたかだか人間風情が――――言うこともたやすく信じる純粋な人物である。
だからこそ―――――人間同士の付き合いは疲れるとオウファン感じていた。

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ぉおお…マユルが思いがけず真面目だったために、なんだかあぶない状況!
クロンさんちょっと読みが甘かった><;
でもオウファンさんカッコイイ…(*ノωノ)❤ 窮地っぽいのに余裕あるひとはイイですね!
こういうタイプは策士系かなあ…と、思うのですが、騎士団長ってことは、相当腕が立つのでしょうか。いいなあ…(*>ω<*)

お久しぶりのコメで乱文すみません(;・д・A また遊びに参ります~♪

2009/12/19 21:11 | 卯月 朔 [ 編集 ]


コメントありがとうございます。 

朔様へ

コメントありがとうございます。
結構、まじめに内容まで読んでいただいてありがとうございます。
基本的にシリアスファンタジー(のつもり)なので、それなりの描写もあります。
マユルも戦闘中は結構怖い感じです。

オウファンはクロンの右腕として活躍する人間ですかね。
・・・あまり登場回数は少ないかもしれないですが。


また、立ち寄った時に読んでくださいませ。
ありがとうございます。

2009/12/19 21:31 | LandM [ 編集 ]


 

やっぱり人間も黙っていられないようで
戦争回避は無理そうだ
竜を支配下に置こうとか血を飲もうとかいう輩が出てくるかも。この時代ってどういう武器を使ってるんですか?
現代で使ってるのは大抵あるんですか?近代兵器的なモノです。

2011/03/07 08:14 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]


★ハリネズミ★ 様へ 

基本的な時代スタンスは地球でいうところの1950年代です。
中世ではなく、近現代です。
銃もありますし、大砲もあります。
テレビは普及しておりませんが、ラジオは普及しております。
車や電車もあります。
・・・あまり、その辺が生かされた設定になってないのが難点なのですが。

2011/03/07 08:49 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


 

シュライン・・・英語でお寺?神社でしたか?
たしかそんな意味だったような気がします。

ドラゴンなんてのもいるんですかい。
クロンさんならぺットで飼いならしてそうですが。

2011/08/09 01:34 | ねみ [ 編集 ]


ねみ様へ 

この世界でドラゴンは特殊な意味を持ちます。
それはまあ別の話で語られるとして。

シュラインは英語でそれもありますけど、今回は別の意味を使ってますね。
それが気になるようであればまた調べてみると良いと思います。

2011/08/09 17:52 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


 

嵐の前の静けさ
のようですが、この場合嵐の予報はある訳ですから…
…やはりクロンが魔王たる片鱗ですな
こういう人がいるといいなぁ
純粋にそう願います

2015/11/21 08:56 | rainshot [ 編集 ]


rainshot 様へ 

ううむ。
オウファン懐かしい~~~。
クロンも博愛主義の中に戦う姿がみれていいですね。
魔王みたいな人がいたら・・・どうなのだろうか。
多分、現実世界ではニートなのでは。。。

2015/11/21 09:37 | LandM [ 編集 ]


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