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2000/12/25 (Mon) 6話『余興』

トポポポポポポ………。

クロンの書斎にワインを汲む音が聞こえる。
クロンがオウファンのおもてなしのためにワインを注いでいるのである。
魔王がワインを注ぐ姿は非常に妖艶であり、吸い込まれそうな魅力があった。
この姿だけでも虜になる者はいる。
そう断言できるとオウファンは思った。

異端を愛する者なら、この姿を見るだけで虜なるだろう。
そんな魔王特有の魅惑がクロンにあった。

ワインはこよなくクロンが愛しているものである。
結婚記念日などにはよくワインを飲むのがクロン一家の風習である。
それが魔王一家ということになると、また格別な雰囲気が味わえるのがポイントである。
そのため、ワインも格別なものを用意している。

良質の葡萄に長年熟成をしたワインであり、味覚が利くものにとっては100万出してもいいと思うワインであった。
それぐらい良質なワインであった。









オウファン「魔王閣下からワインを注がれるとは……感謝の極み。」

クロン「何。今日は祝い日だ。新しい入居者のな。」

オウファン「そう言っていただけると幸せ。」


クロンは注がれたワイングラスを片手に持った。
満月の光に当てられたその姿は血を飲む吸血鬼のように見えてしまう。
人間ではない亜種としての魅惑が全面に出ていた。
それでもオウファンは平常と変わらない表情を取り繕っていた。


この御姿を拝見できるだけでも生きた甲斐はあった。
表情とは打って変わって、そう断言できるだけの心の持ちようであった。






クロン「それでは。クロノス自治区に新たに入居するオウファン・カラス祝って……乾杯。」

オウファン「乾杯。」


カキン。
互いのワイングラスが当たり、小気味いい音がクロンの書斎を奏でる。
それは一つの風景がにも見えた。

オウファンは一口入れる。
……なんとも深い味わいのワインである……と思ったのが感想だった。
美味しい美味しくないという観点で言えば、オウファンは何とも言えない……としか言いようがない。
ワインを嗜んでいないオウファンには無用の長物かもしれない……と思った。

勿論、そんなことは言えるはずはなく、そのまま飲みほす。
そのうち、これの味わいも分かってくるのかもしれない……と思った次第であった。








オウファン「奥様とのこのようなことを?」

クロン「たまにな。ミルフィールはこういう正式なものは苦手だが。」

ミルフィールはあまり形式的なことにはこだわらない性格である。
むしろ、ピクニックなどの方を好むのがミルフィールである。
野生の動物と共に生きたミルフィールらしい嗜好である。
勿論、クロンもよくそれに付き合っているのだが、最近は忙しくて付き合っていないなと思った。







オウファン「それもそうでしょうね。」

クロン「まあ、相手には困らないさ……。」

それでも、相手には困らない。
嗜好はそれぞれであり、ワイン好きは多くいる。
彼らと飲むときはあるし、最近ではシェクスピアもいる。
彼女は味はかなりうるさい方なので、ワインの違いも分かるようになっている。
彼女とワインの品評を行ったりもする。




……その後、しばらくは雑談を交えた二人だった。
昨日今日でいろいろありすぎた二人である。
片時だけでも煩雑な諸事を忘れたかったというのが二人の本音であった。
すこしだけでいい。
忘れられるなら今までの労苦をなくなってほしいと雑談を交えたのである。


小一時間が過ぎたころ……
クロンは本題に入った。



クロン「さて、まずは状況確認をしよう。お互いのな。」

クロンは近辺の地図を出した。
正確にはクロノス自治区とシュライン国家アイアトーネ市の地図である。
国境沿いの地図が大きく描きだされていた。

そして地図を広げた。


オウファン「そうですね。まずは双方で情報を交換して……それから対策を練りましょう。」

オウファンはそれに乗じて、筆記用具を準備した。
さながら作戦会議のような印象を受ける様相になった。

ミルフィールが入ろうと思っても、遠慮して入りにくそうな印象を受け緊迫した空気になっていた。

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魔王にワイン合うね
髑髏のカップで飲んでそうだが……
数百年物のワインも所有してたり?
ワインセラーもあるのかな

2011/03/25 09:28 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]


★ハリネズミ★様へ 

あの男はワインは沢山持ってますけど、
あまり酒は強くないのでコレクションで持っているだけです。
金の無駄遣いです。

いつもコメントありがとうございます。

2011/03/26 18:45 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


 

こんな風に過ぎて行くのならいいのに。
戦をしたくないのに・・
本当に何気ないシーンの中に想いが溢れそう。
ワインだからだろうなぁ。

いい男にワインは似合うーーーー

2012/02/14 17:33 | ぴゆう [ 編集 ]


ぴゆう 様へ 

本当は絵が欲しかったですけどね。
予算上の都合があったのでね。
なかなか・・ということですね。
すいません。
褒めて頂きありがとうございます。

2012/02/15 16:54 | LandM [ 編集 ]


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