クロン「いつまでもワインとチーズで興じるわけにはいかないからな。」
オウファン「もっとも。」
オウファンとクロンはチーズとワイングラスを別の机に置いて、一番大きな机に陣取った。
電球を付けて、地図が見えやすいようにしていた。
電球によって映し出されるクロンは非常に妖艶である。
魔女や異端に堕ちた人間であれば、それこそ一発で魅惑される魅力がある。
彼になら忠誠を誓っていいという人物だったら、探せばいくらでもいそうである。
もっとも、オウファンは全くそれを気にしない素振りで地図をじっと見ていた。
これからどうなるかはアイアトーネ市の情勢を知っているオウファンの手にかかっている言っても過言ではないからである。
彼がバイパスとなって色々案を考えることが多くなり。
オウファンの腕の見せ所といわれるところである。
クロン「まずはクロノス自治区の説明をさせてもらう。人口は1000万人……農作物や工業・経済面はシュライン国家とほぼ同等。特産物は野菜であり、他国では採取できない野菜もあり希少価値が高い。防衛隊兵士数は1万人。それに近い数字の調教されたモンスター。そして―――竜。」
クロノス自治区の軍事力は何といってもモンスターである。
確かに防衛隊は結成しているが有志のものでの部隊であり、それはあまり強くない。
何よりも最大の魅力は人間側が俗に「モンスター」と呼んでいる獣である。
アイアトーネ市の兵士に対してモンスターはかなりの戦果が期待できる。
なぜなら、圧倒的に戦い慣れていないのである。
人間同士の戦いの訓練はやっていても、獣退治の訓練はあまりやっていないのが現状である。
そのため、モンスターは対人間に対して一定の成果が期待できる。
問題なのは統率がきかないことか。
街などに繰り出せば、ひとたび虐殺が始まるのであまりやりたくない戦略ではある。
それはドラゴンに対しても同様のことである。
規模が大きくなるだけで、基本的にはモンスターと同様の効果と思っていい。
オウファン「そして、その南にあるのがシュライン国家。人口は6000万人。主に海洋貿易が盛んな国で、特産物もそれに準ずる。国防兵は10万。特に戦艦の海兵の質が高い。」
国力は全然違うな……。
流石に、10万の兵を相手にするのはこちらも酷である。
もっとも、そこまで相手にする気もこちらにはないのだが……。
しかし、シュラインにとってはあるかもしれない。
それぐらいのレベルだ。
今すぐ、対処が必要ということではない。
クロン「アイアトーネ市の戦力は?」
オウファン「1万。もともと経済的にも地理的にも重要拠点ではありませんからね。そこまで兵士がいるわけではありません。以前も言ったとおり、質・量を見ればアイアトーネ市を落とすには十分の兵力があります。」
クロン「アイアトーネ市だけであればな。」
アイアトーネ市自体の戦力は大したことはない。
それは前々から分かっていたことである。
しかし、アイアトーネ市を落とすことはそのままシュライン国家全てを敵に回すことと同義である。
それはつまり約10倍の兵士たちと戦うということになる。
兵士の質で負けるとは言わないが、それでも10倍差があるのは喧嘩をするには分が悪すぎる。
だからこそ、クロンはまだ余裕が持てる。
しかし、それがわずかなものだということも分かっていた。
対策を間違えれば……あるいは遅れれば、それは人間以外のすべての種族の滅亡がかかっている。
判断を間違えることはできない。
クロンの肩に種族の存亡がかかっているのだから。
未分類 | trackback(0) | comment(2) |
comment
ワインにチーズって良く見るね
赤ワインかな?
何かそんな感じがする
独自の野菜ってどんなもの?
マツタケの類な高級食材?
2011/04/11 07:48 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]
★ハリネズミ★ 様へ
たぶん、そんな感じだと思います。
料理関係はあまり決めてないんで、イメージでお願いします。
イメージで。またそういうのをメインに置いた文章とか書けるといいですね。
2011/04/11 10:38 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]
trackback
trackback_url
http://landmart.blog104.fc2.com/tb.php/62-2b016960
| TOP |