クロン「調子はどうだ?シェクスピア。」
シェクスピア「うん。OKよ。」
竜が襲いかかった翌日。
クロンとシェクスピアはクロノス自治区にある公の機関で構築した魔方陣結界がある場所へといた。
『カタヅトリノオリ』と名付けられた魔方陣がある場所はとあるクロノス自治区の首都クロノスの図書館の屋上にあった。
半径3キロメートル。
巨大な5芳星が青白く光っていた。
その周囲には文字が書き込まれていた。
『我、禁断の魔法へと踏み出すものなり。
向かうところは異端か。
それとも栄光か。
恐怖か。
尽き果てるところが破滅であるには変わらない』
禁呪を使うものが愛用する魔方陣『カタヅトリノオリ』。
この魔方陣の中いれば、2ランク上の禁呪や通常魔法を唱えることが可能である。
しかし、魔力供給の恩恵を受けないため、使用者には過度の身体的負担をかける魔方陣でもある。
青白い魔方陣の光に照らされたシェクスピアは普段よりも妖艶に見えた。
普段のような引き込まれるような妖艶さではない。
恐怖と畏敬の念を覚えるような魔女としての妖艶さがここに見える。
魔王と釣り合いが取れる異端に堕ちた魔女がそこにいた。
この光景を見れば、誰もがいようも思える。
常識を歩むものであれば。
魔王と魔女が溶け合う異次元の空間がそこにあった。
シェクスピア「結構、常識はずれな魔方陣を構築してくれるじゃない。」
シェクスピアは嬉しそうに話していた。
彼女はもともと禁呪に対する知識追求。
そして、禁呪を実際に使用するために旅をして回っていたのである。
その成果の結晶がここにある魔方陣であり、これを媒介にして使用する禁呪である。
禁じられた魔法。
それは人の手に余るからこそ禁じられた禁忌の魔法。
それを追求することこそがシェクスピアの本懐であり、人生そのものであった。
だからこそ、シェクスピアは歓喜していた。
今、禁呪への階段をまっすぐと駆けあがっているのだから。
クロン「ああ。気に入ってくれてなによりだ。」
シェクスピア「ええ。」
クロンもシェクスピアの表情に満足そうにしていた。
クロンとしてもシェクスピアには個人的にかなり肩入れをしてきた。
その成就が目に見えている。
それと同時に不安もある。
器を超えた禁呪は身を滅ぼすことをクロンは頭の中で分かりきっていた。
彼女は知識探求は世界一でも、その魔力や技術については一流……いや2流であった。
まさに身を滅ぼす魔術師の典型であった。
クロン「理論上、シェクスピアはこれですべての禁呪が使用できる。やろうと思えば……星を滅ぼすぐらいのエネルギーを秘めた魔法も使用可能だ。」
シェクスピア「けど……がつくんでしょ。」
クロン「ああ、だがそれはシェクスピアの場合、身を削ることになる。絶対に使用するな。」
シェクスピア「ふうん。」
シェクスピアには分かっていた。
ならば、こんな魔方陣を構築しなければいい。
それでも構築したのは来るべき驚異のためである。
もし、絶対を覆すような状況に陥ったら……使用をすることを許可するだろう。
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comment
魔法陣といえばごぼうせい
イメージしやすい
文字が書いてあるってのも自分の想像通り
何語か分からないのが書いてあるのもピッタリ
どうやって魔法陣作ったんで?
なんか詠唱して出現させたとか?
2011/04/11 08:19 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]
★ハリネズミ★ 様へ
この場合の魔方陣はアイテムによるものです。
魔力による魔方陣の展開もありますけど、今回シェクスピアが使っているのはアイテム利用です。
魔力の集まった結晶を魔方陣の形にしているタイプですね。
もちろん、詠唱で作るタイプもありますけどね。
2011/04/11 10:53 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]
魔術に限界はないのかな。
知るのはクロンだけな気がする。
二流に驚いた。
人としての限界でもあるのかな。
何もかも捨て追求してきたシェクスピア。
少し悲しい。
2012/03/06 17:41 | ぴゆう [ 編集 ]
ぴゆう 様へ
限界はありますよ。
基本的に1000年に一度ぐらいのエネルギー係数が限界です。
まあ、ようするに去年の3,11ぐらいのエネルギーが限界です。
要するに街ごと吹き飛ばすのが魔法の限界ですかね。
とりあえず、それぐらいにしておいてください。
一流と2流の差は大きいですよ。
色々と・・・。
2012/03/07 18:41 | LandM [ 編集 ]
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