クロン「言いたいことはいろいろあるかもしれない。」
シェクスピア「大体は分かっている。大丈夫よ。」
クロン「そうか。」
シェクスピア「身の程はわきまえている。」
シェクスピア自身、より高度な禁呪を使用することは命を削ることだということは分かっている。
滅多なことでは使用しないだけの知識と経験があった。そして、自分自身の身体でも分かりきっていた。
禁呪を追求すればするほどシェクスピアは自身で身に余る魔法だということも。
それでも追及を止めなかった。
それは稀代の異端追及者とも称されるシェクスピアの生き方であった。
シェクスピア自身は禁呪を追求することこそが、シェクスピアの存在意義であった。
クロンは痛いほどそれが分かっていた。
もしクロノス自治区やクロン自身に命の危険が及べば、彼女は遠慮なく身に余る禁呪を使用する。
それだけのクロンとクロノス自治区に対する愛情、そして禁呪への好奇心そして異常なまでも執着心があった。
それだけの感情を抑制できないことクロンは知っていた。
どうしてそこまでシェクスピアは禁呪を追い求めるか――――――。
聞いたことはない。
おそらく聞いていはいけないことなのだと感じた。
それは過去に何かあったからこそ、今のシェクスピアがあるのだろう。
何か禁呪を研究しないといけないという強迫観念にも襲われているようなシェクスピアである。
それはクロンが初めてシェクスピアと会ったとき思っていたことであったが、なるべく気にしないようにはしてきた。
一つ言えるのは…シェクスピアは禁呪なしでは生きていけないということだ。
それだけはクロンは分かった。
クロン「これはあくまで切り札だ。」
何度も繰り返し言う。
シェクスピアは条件が揃えば必ず唱える。
自分の命を削ってでも、最大級の禁呪を使用する。
それだけは断言できる。
それでも彼女を止めることはできない。
それをしようものなら、シェクスピアは間違いなく自殺する。
だからこそ、クロンは優しくシェクスピアに接するだけである。
シェクスピア「分かっているわよ。クロン。」
本当に分かっているのかどうかわからないあどけない態度。
いや、分かりきっているからこそここまで無邪気な顔つきをしているのかもしれない。
ならば、言うことはない。
シェクスピアはシェクスピアの思うとおりに生きる。
それこそがシェクスピアの祈りであり、生き様である。
クロン「ならばいい。」
シェクスピア「ええ。」
―――――――この場所を作ったのは失敗だったか。
クロンはシェクスピアの表情を見て思った。
しかし、それを許さない国外との緊迫がある。
今、魔方陣を構築していないとなにがしらの問題が生じる。
ならば、これは必要悪だ。
クロンは割り切った。
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comment
高位の魔法を使うのにもそれなりのリスクがあると
だが、命を削るのはちょっといやだな
寿命を削る術
まぁ、長命な種族なら何てことないでしょうが人間の様に寿命が低い者にはリスクが高い
2011/04/11 08:23 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]
★ハリネズミ★ 様へ
基本グッゲンハイムの人たちの平均寿命は50年にしてます。
理由は魔力の消費が過剰であるため、それが寿命に反映している。。。。ということになってます。
もちろん、長生きする人は100歳ぐらいまで行きますけど。
まあ、リスクは高いですね。
2011/04/11 10:54 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]
割り切るかぁ。
クロンは辛いなぁ~
いろんなものを犠牲にしなければならない事態は避けたいよねぇ。
避けたいのに向こうからやってくる。
何とも悲しみがつきまとうなぁ。
異民族の存在ってそんなに許せないものなのかね。
全く、人って嫌な種族だよ。
お姉さまのご出産、おめでとうございます。
LandMさんもおじさんですねぇ。
ぷぷ
2012/05/25 14:23 | ぴゆう [ 編集 ]
ぴゆう 様へ
ありがとうございます。
嬉しいですね。
おじさんには前からなっていますけどね。
姉は二人目なので。
シュライン国家はそれだけで戦争しているわけではないですけど。
なんというか諸々事情があって戦争してます。
そこまで書くとややこしくなるので。
割愛してますけど。
2012/05/27 08:28 | LandM [ 編集 ]
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