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2001/01/22 (Mon) 3話『幻惑』

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確認をしておくと―――――クロンのクラスはサタン。
別名魔王とも呼ばれるかなりランクの高いクラス……つまり職業についている。
ただそれは統治という面では優れているが、戦闘と言う面では優れてはいない。
あくまで魔の者たちに対する統治とその管理が優れているのであって、決して実践向きではない。

大方、戦闘になれば後方から指示・支援をするのがクロンの仕事になる。
指揮官が前に出ることはなるべく控えた方がいい……と言ったのはオウファンであった。
それは魔王に限った話ではなく、指揮官全員に言えることである。
指揮官は最後の最後まで生き残り、下の者のを指揮をし続けなければならないのである。
時に冷徹に。

なので、クロンが正面から出ることは控えた方がいい、
それは道理ではあるが、実際にそうも言ってられない時もある。
幾分、クロノス自治区で戦闘経験が豊富な人物がいない。
戦闘経験が豊富な人物がいれば、上手に偵察を巻くことは可能ではあるが、それができるほどの練達者はいない。
マユルは殺す力はあっても、戦略的な行動はできない。
シェクスピアは結界の管理で動けない。
オウファンは騎士団長と言われていても、そこまで戦闘経験があるわけではない。加えて、人間である彼にやらせるのは多少なりとも酷なことである

消去法から考えれば、クロンが妥当である。

世界を旅した彼は様々な自衛方法を兼ね備えているし、撒き方も知っている。
戦闘経験もそれなりに豊富と言えなくもない。
強者と戦うことはできなくても、格下相手にごまかすことはいくらでもできる。
いくら30歳をすぎていても、それぐらいはできる。

結局、クロンは一人で偵察部隊のところへ赴いたのである。
つまるところ、彼らを追い出せばいいのである。
殺してしまうことは戦争発展につながり問題があるが、追い出せばそこまで問題はない。

きめ細かな戦略と技術が必要になってくる小競り合いである。






クロン「魔王の条件を教えてやる。一つ、魔王は常に人の恐怖の対象でなければならない。二つ、魔王は人間の前に出てはならない。正体が不明だからこそ人は畏怖するのだ。三つ、魔王は最後の最後に登場しなければならない。……さて、これを破ってまで出しゃばるんだ。魔王の力がどういうものかを知らしめてやろう。」



見たところ偵察が3人。
この程度の数であれば、戦闘クラスではない魔王でも十分に対処ができる。
少し幻を見せてやって、逃げるように先導すればいい。





クロン「我、力の一端を解放する。
    太陽は光を降り注ぐ。
    太陽を隠すは雲なり。
    光が栄光か。
    そして、雲は影か。
    否。
    影があるからこそ太陽があり。
    今、太陽の側に隠れし雲の価値を示さん。」


クロンは闇に堕ちた大鎌を携えて詠唱を行った。
紫色の肩にかかる長い髪の毛が魔法の影響で揺れていた。
眼光は鷹をも射抜く鋭い瞳になっており、ミルフィールやシェクスピアに向けるものではない。
その瞳は正に魔王たらしめん瞳であり、威圧的であり畏敬の念を与えるものであった。
邪眼という表現がふさわしい瞳をしていた。
麻色の肌は魔力の影響か、若さを取り戻したように張りつめていた。

携えている大鎌の先端からは小さな魔方陣が展開されていた。
闇の色の染まった小さな魔方陣がクロンの詠唱によって構築されていた。

ミルフィールに名づけてもらったローブは風になびいているように揺れている。
ローブは色彩が不明であり、黒にも赤にも見方によって様々な色に変化する混沌を象徴する。
そのマントからのぞき出る漆黒の服。

太陽には影が差し、暗闇が支配をする。
今ここに展開されるのは禁呪の一端―――――――。



クロン「闇の禁呪魔法――――ネーネロート ファイン」

その瞬間、太陽は漆黒に染まり世界は闇に包まれた。
――――――いや、偵察兵にとって世界はそう映った。

ネーネロート・ファイン。
世界を闇に包む幻を見せる禁呪である。
あまりにも精神的ダメージが大きいため、たまにショック死するものが出るほどの強烈な幻術である。
そのため、封印された魔法。

勿論―――クロンはそのショック死を防ぐために細心の注意を払いながら偵察兵に幻をかけている。
そのあたりも、練達された技術とも言える。


ただ、世界を闇に変えただけで動揺する兵は少ない。
少なくとも訓練を受けていれば、対応ができる幻術である。
この魔法を真骨頂はここからある。








ギイィ。

気味が悪い金切り声が聞こえる。
術にかかった偵察兵のみにそれは木霊する。


ギイィ。

その音は次第に大きくなる。
まるで何かが近づいているかのように。
そして、兵士は全く動けなくなる。


ギィィィ。

余計に大きくなる金切り声。
この声は鼓膜を通じてではなく、脳に直接かけている。
いくら耳を閉じても、金切り声が消えてこない。



ギィィィィィィィィィ。

背後から大いなる鎌がやってくる。
漆黒に染まった大鎌が偵察兵の首にかけられる。
少し力を与えれば、すぐに首と胴体が離れる。
そんな圧迫感を偵察兵は感じた。


そして、ここで一言発せれば終わりである。










クロン「さがれ。ここはお前らが来る土地ではない。」

―――――――その瞬間。
偵察兵の神経は極限を迎えた。


偵察兵「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」

のどがつぶれるような声とともに彼らが元にいた町へと駆けていく。
それはちょうど幽霊を見て見げまどう人間のようであった。

恐怖に顔が歪んでいる。
のどは大声出して枯れている。
皮膚は恐怖によって歪められている。

かなりたちの悪い幻術である。
封印して禁呪にする者の気持ちが良く分かる。

クロンはそれを実感した。
そして、クロンは再び闇とともに消えた。


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サタンはルシファーとも呼ばれているよ
サタンは地獄での呼称みたいな
今思ったんですが自治区ってエデンの園的なところ?

禁術に指定されてるのか
幻術という分野ではこれはそれ程禁止しなくても
この世界結構規制が厳しいの?

2011/06/03 12:40 | ★ハリネズミ★ [ 編集 ]


★ハリネズミ★ 様へ 

クロノス自治区は普通の場所です。
なにやら特殊な場所ということではありません。
エルフや獣人や人間がごった返しでまとまりがついていない場所で、そこをクロンがまとめたという設定です。
楽園みたいな場所ではないですね。

確かこの魔法はあまり禁呪指定にするほどでもないですね。
かつて禁呪の規制が厳しかったというのが正しいですね。
さる昔、リース・ガザルベルクという大量虐殺者が好き勝手魔法を唱えてすき放題暴れまくった影響で、あまり危険性のない魔法まで規制されてしまったという歴史があります。
この魔法は危険度自体はあまり高くないのですが、リース・ガザルベルクが使用していた魔法ということだけで規制された魔法ですね。その手の魔法は多いですね。

2011/06/03 18:57 | LandM(才条 蓮) [ 編集 ]


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