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2001/01/28 (Sun) プロローグ『嵐の前の静寂』

文字通り……ということではないが、オウファンの言う「当てにならない」は本当に当てにならなかった。
マユルがシュライン国家の兵士をくらってから、もう10か月が経過しようとしていた。

クロンもすぐに攻めてくると思いきや……まったくそんなことはなく、偵察兵との小競り合いばかりが続いた。
そのため、適度の緊張感はあったがそれ以上の者はない。
それにその偵察兵にはクロンが立ちあっていたので、問題も生じることがなかった。



そのため、クロンは心おきなく兵力の増強を行った。
しかし、それはアイアトーネ市も同じことが言える。
以前は1万程度の兵であったが、その兵の数は増えているだろうしいつ全面戦争になってもおかしくない状況であった。
きっかけがあればいつでも戦争になる。

10か月前と比べると、火薬庫の状態になっている。
10か月前に始めれば大したことがない戦争も、今すれば壮絶な戦争になるのは必至である。

もちろん、その間オウファンやクロンが平和的交渉をしようと試みなかったわけではない。
オウファンのツテを使って最大限に使って、交渉しようとしたが取りつく島がなかった。
全くもって、交渉の段階まで上がらない。

話し合いができない状況になった。
どうやらなかった事にもする気がないらしい。

これは徹底的に潰すために増強及び結界解呪を試みていることは明らかだった。


結局、クロンたちにできることは兵の質を上げることであった。
課題であった歩兵の質の向上は軌道に乗り、なんとか軍隊と呼べるような段階まで上がった。
そして、竜の数も多少なりとも増えた。
禁呪使いもそれなりに増えたこともあって、いささか戦えるような状況にまでは持ってこれた。


軍備増強が余計に緊迫を呼ぶ。
それはアイアトーネ市もクロノス自治区も同じことであった。


それとなく、何度か偵察をアイアトーネ市にも出した。
やはり増強はしているのは事実である……しかし、その規模を見ていてもクロノス自治区の防衛を大きく揺るがすようなことではなかった。
こちらの全兵力を費やせばアイアトーネ市は簡単に潰せる。
それはおごりではなく確定事項であった。
それが分かっているからこそ、アイアトーネ市は仕掛けてこないのだろう。


ならば、アイアトーネ市が待っているものは何か。
こちら……つまりクロノス自治区の綻びを待っているのだろう。
内乱・テロ・大きな事故や事件・クーデター……そういった不測の事態を突く腹であろう。
それを徹底的に突いて、兵力の差を補うつもりなのだろう。


クロンはそれを読み、最大限に不測の事態が生じないように治安を良くした。
クロンとオウファンは徹底して、変化がないかを調査して国防に努めていた。

マユルは竜の子作りに努め、シェクスピアは後輩の育成に力を入れる。
ミルフィールはちょくちょくクロンたちの緊迫した空気を和ませていた。









クロン「変化は……ないな。」

オウファン「そうですね。ここまで来ると変化を見つけるのが大変ですが。」

クロン「そうだな。」

クロンたちは毎度、各地を訪問して変化や綻びがないか調査をしているがそれらしきものはなかった。
聞き込みや豪族の話を聞きながら、内部調査もやった。
それでも見つからないということは何も問題がないということだろう。

それを繰り返しやったクロンたちはもはや変化を見つけることに億劫になっていた。
それが怠惰を生み、綻びを生じさせる原因になることが分かっていた二人は結局、今まで通り緊迫した空気で政務をおこなっていた。








オウファン「私の『当てにならない』は正に当てになりませんでしたね。」

クロン「遅くて1年と言っていた。もう10か月が来る。この状況をどう見る?オウファン。」

そろそろなにがしらの変化が欲しい。
そうクロンは思い始めていた。

この10か月の兵士増強でやるべいことはやった。
後は時間を委ねるだけとなる。

軍備の変化をつけたのであれば、あとは政治の変化をつける必要があった。
そのための状況確認がクロンには欲しかった。






オウファン「攻めたくても攻めれない。それが本音でしょう。アイアトーネ市もそこまで馬鹿ではないということです。きっかけがないのでね……最も、私たちが作っていない……というのもありますが。このままの状況が続く可能性は大いにあります。」


オウファンは憂いを帯びた表情で言った。
このまま進めば全面戦争である。
それはオウファンの望むことではなかった。
オウファンが望むことは共和であった。
クロンたちとアイアトーネ市が分かりあうことが可能にさせることがオウファンの役目であるはずだった。
しかし、ここまでアイアトーネ市が一方的に拒絶体制を取ればこちらも行動ができなかった。

既にアイアトーネ市ではオウファンは死んだことになっていた。
それぐらい冷たくあしらわれているのである。







クロン「ならば変化をつける時期だ。お互いに。アイアトーネ市が変化をつけるとしたら?」

オウファン「私であれば中央の兵を引っ張ってきます。直接的に軍備増強です。」

クロン「私でもそうする。そして、アイアトーネ市は本気で仕掛けるということか。」

オウファン「はい。」

中央の兵士を引っ張って来られると厄介である。
シュライン国家の中枢にいる兵士はアイアトーネ市にいる兵士と比べ物にならないほど精強だ。
訓練の大きさも違えば兵器も違う。
いわゆる正規軍というものになる。

そうなれば、クロノス自治区もかなりの苦戦が強いられる。
最悪な状態だと、クロノス自治区が滅びる。

それぐらいに国力に差がある。

シュラインは6000万人、そしてクロノス自治区は1000万人。
その国力の差はあまりにも大きい。

質でカバーするのも限界がある。







クロン「これ以上の軍備増強は市民に負担を与える。こちらはそういう状況になってもしないぞ。」

オウファン「そうですね。こちらが変化をつけるとしたら、政治でしょう。」

クロン「具体的には。」

オウファン「シェクスピアの故郷を動かします。あそこはシュラインとそこまで仲が良くない……。それに加えてシェクスピアお姫様がいます。それと禁呪を解明書をちらつかせれば……交渉には応じてくれるでしょう。内容はそうですね……中央の兵をクロノス自治区に回さないように牽制してほしい。代わりに禁呪の知識をあげる……と言ったところでしょう。」

シェクスピアの故郷はグッゲンハイムの中でも「西の管理者」と呼ばれるぐらいの大国である。
人口が1億人以上いる巨大魔術国家である。
そこが睨みを利かせれば、西に位置する諸外国は全て黙る。
それぐらいのパワーバランスを誇っている大国である。

つくづく、シェクスピアの存在は重要だと感じる。
彼女はそこの国王の娘なのだ。
シェクスピアの鶴の一声でクロノス自治区を攻め入らないようすることはいくらでもできる。
ただ、それは最終手段だ。

シェクスピアは故郷を嫌っている。
それにそれを何度も使えば効力がなくなってくる。
様々な不安要素を抱えるためにクロンはその選択肢を避けてきた。

―――――しかし、手を打っておくに越したことはない。








クロン「いい案だ。もし、2か月しても変化がない場合はそれを動かそう。」

オウファン「了解しました。でしたら、その下準備をしてまいります。」

クロン「頼む。」


互いに変化を求めていた時期。
その時期に―――――――――――――――――アレがやってきた。
殺戮を求める勇者が。

グッゲンハイム1905年も終わりが来ようした時期。
クロノス自治区とアイアトーネ市の戦争が始まる。
魔王が君臨し――――――そして、勇者がやってくる時だった。


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凄い事になってますね
ついにカレンが…………………………
マユルが気になります((

2011/05/24 16:34 | 彩舞 夜千 [ 編集 ]


彩舞 夜千様へ 

そうですね。この辺から怒涛の展開になっていきますね。
マユマユはそうですね。この作品のある意味主人公ですからね。
いつもコメントありがとうございます。

2011/05/25 06:59 | 才条 蓮 [ 編集 ]


No title 

久しぶりにお邪魔しました。
戦争前に勝敗が決まっていると言うが、
例え負けたとしてもここにありと、
意気地を通す事は大事だと思う。

家康本陣を目指し壮絶に散った幸村の姿は今だに語り継がれている。。

負け戦にならぬようクロンは手を尽くすのだろうなぁ

2013/02/04 00:48 | ぴゆう [ 編集 ]


ぴゆう 様へ 

負け戦になりそうになったら、諦めるのがあの男ですけどね。
まあ、そういう風になりそうもないから
戦っているのですが。
それでもマジでやっているのもあの男ですね。

2013/02/05 06:59 | LandM [ 編集 ]


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