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2001/02/08 (Thu) 6話『空間転送移詠唱』


カレン「あじい………。」

シェクスピアの隕石魔法の影響で、手袋が完全に焼き焦げていた。
このままでは邪魔になると思い、手袋をを脱いだ。
手袋は完全に黒色に焦げており、隕石魔法の威力を語るものになっていた。

マユルは言葉には出さなかったが、ここまでの実力なのかと驚いた。
さっきの隕石魔法は冗談の見かけ倒しの魔法ではない。
街一つが完全に崩壊させることができる禁呪中の禁呪のはずである。

それはカレン・エスタークは完全に防ぎきった。
しかも、彼女はまだ能力制御をしている状態である。
もっている聖剣も、そして自身の能力制御も施しいる状況でシェクスピアの攻撃を防いだ。

予想以上の強さである。
能力解除されれば、間違いなくマユルは殺される――――。
それは確定事項に近かった。









―――――しかし、カレンはカレンでかなり驚いていた。

アレは――――――まずい。
隕石魔法を受け止めたカレンは深刻な表情をしていた。
受け止めたカレン本人にはあまりダメージはない。約4%程のダメージを受けているががそれは些事なことである。
むしろ何がまずいか――――――。

背後にいるシュライン兵士がまずい。


曲がりなりにも――――カレン・エスタークは性格的にも勇者であった。
確かに性格上虐殺者という側面はあるが……それでも善なるものを殺すほど無慈悲ではない。
須らく彼女に殺される者はそれだけの正当性がある――――とカレンは自分でも思っている。
そして、自分が殺すことによって、他の者が殺さずに済み、そして生をつなげることができる。
そのことがカレン・エスタークのとっての悦楽であった。










だからこそ、認識する。
あの隕石魔法使う魔法使いは殺したほうがいい――――――。
殺さなければ、おそらくあの魔法をシュライン兵士にも使う。
カレンだからこそ死なずに済んだ魔法―――――しかし、一般市民や兵士に使えば千単位の人間が死ぬ。
ならば、戦略上も道義的にもあの魔法使いを殺さなければならない。





カレンは冷たい表情をした。
もっとも、サングラス越しではマユルは推し量ることはできないが。
今までは自分の快楽のために戦いをしていたがこれから先は違う。
勇者は悪者を無慈悲に殺すから勇者なのである――――――ならば、禁呪使いを無慈悲に殺すことが多くの人を救うことに繋がり、直接的にシュラインの兵士を救うことになる。
行動することは簡単だ。










カレン「空間の紋章―――――今、回覧する。
    我は未熟なれど、高い位の魔法へ触手する。」

マユル「―――――――させない。」


マユルは気づいた。
カレンの雰囲気が変わった。
マユルのように冷たい印象を与える戦闘態勢に入った。
それはあたかも殺人マシーンとしての印象を与える雰囲気になっている。

そして空間を操る魔法詠唱――――――この意図は明らかだ。
シェクスピアを殺す気だ。
マユルにとって彼女は―――――肉親の母よりも母らしい人物であり大切な人物である。
彼女を殺されれば自分はこの時代でどうすればいいのか分からない。
それぐらい大切な人物であった。

なんとしても、詠唱を止める必要がある。
マユルは必至の形相で持っている槍を突き出す。







ガギイイイイイイイイ。

カレンは詠唱中なれど、それをもろともせずに応戦する。
突き出す槍を無難に薙ぎ払う。
練達したカレンの戦闘技術は詠唱中でも太刀筋が衰えることがなかった。


ならば、竜言語魔法―――――考えて止めた。
今から詠唱を開始してもカレンの詠唱を止めるだけの巨大魔法を唱えることができない。
結局、通常攻撃で口をふさぐか、手をふさぐか……それしかあり得ない。




カレン「空間は我の住み所。
    彼方の世界より生み出されしもの。
    すでにそこに在ったもの。
    その空間属性魔法に着手することをお許しください。
    不相応な魔法を唱えることを。」

マユル「――――――この女。」

大雑把な性格とは裏腹にかなり細かい戦いもカレンは慣れている。
曲がりなりにも軍人として勤めているカレンは多種多様な任務に対応できるようにはなっている。
詠唱を唱えながら、戦闘能力を落とさずに戦うことは可能である。
それが勇者としての戦い方の一つでもある。
……どちらかというと魔法騎士の領域になりそうだが、その辺をカレンが気にする様子はあるわけもない。








後、七節――――――――。
それを唱えきれば、カレンは必ずシェクスピアを殺しに行く。
そのことは分かっていた。

さっきの魔力波動からシェクスピアの位置は分かったはずである。
ここからどう逃げきっても、カレンは魔力波動を辿ってシェクスピアのもとへたどり着く。

つまり―――――この7節の詠唱が終わることがシェクスピアの命を絶つこと同義だ。



ギイイイイイイイイイイイ。

金属と金属が擦れ合う。
マユルの焦燥を表すかのように、静寂の森に木霊する。







カレン「我が唱えしは空間移動。
    空間から空間を飛び越える。」

マユル「――――――――――!!!」


後、五節――――――――――。


カレンは冷酷に詠唱を続ける。
そこに迷いがなければ、躊躇いもない。
躊躇いが自分の死になることをカレンは身に染みて知っていたからである。
徹頭徹尾、殺すと決めた者は必ず殺す。
それがカレンが勇者としての生き方であった。


ガグウウウウウ。

マユルの必死の槍捌き。
その速度は徐々に上がっていて、もはや正視できない光速にまで昇華していた。
鎧ごと突き抜ける光の槍捌きがカレンを襲う。








カレン「移動は生活の要なり。
    それを援助し、苦労をなくし給え。
    今、空間の門を広げるための道程を示せ。」

後、二節――――――――――。



シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ。

マユルの真一文字の突きが空間に悲鳴をあげるほどの速さで巡った。
鎧ではなく、人間二人を貫かんとする速度で襲ってくるマユルの槍。


ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ。

それをカレンは捌く。
カレンの戦闘経験は通常とはケタはずれである。
五歳のころからグラストを持ち、6歳から人を殺し始めた――――。
つまり、14年もの戦闘経験を持つカレン・エスターク。
それは今の戦闘にも裏付けされていた。








カレン「我の望む場所へ―――――。
    空間転位魔法―――――ラスカル。」


――――――そして、カレンはマユルから消えた。





   

    

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こちらではお久しぶりです、黄輪です。
久々にコメントをば。

勇者カレンの性格、わだかまりを感じつつも納得するところがありますね。
確かにこのくらい歪んだ倫理観があって、
かつ、確固とした正義漢じゃないと、
勇者は務まりそうにないですよね。

2010/05/09 20:48 | 黄輪 [ 編集 ]


黄輪 様へ 

こちらではお久しぶりです。コメント無精なのに、ありがとうございます。
レスが遅れて申し訳なかったです。

カレンというキャラクター性は決まっています。典型的な勇者とは違いますが、性格が決まっているので、その辺は動かしやすいというところはありますね。本人は歪んでないと思っているんですよ。

2010/05/10 18:29 | LandM [ 編集 ]


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